2020年2月21日から東映特撮YOUTUBEOFFICIALにて毎週2話ずつ『ブルースワット』が無料配信されます。



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 メタルヒーローシリーズ13作目にとなる本作は個人的に思い入れが強い特撮ヒーロー作品です。
初めて視聴したのは2015年のYoutube無料配信でした。
というのも現在は動画配信環境が整備されていますが、多くのメタルヒーローシリーズと同じく本作はDVDレンタルがされていないため視聴ハードルが高いと個人的に思っていましたが、視聴し始めるとその魅力に引き込まれ「もっと手軽に見られる環境が広まれば……」と嘆いたものです。

 今回始まるYoutube配信は2015年と同じく無料です。
今ブルースワットを見るというのは実にお得な行為なのです(?)。



 そして、次作のメタルヒーローシリーズ『重甲ビーファイター』の最終2話に同じくメタルヒーローの「特捜ロボ ジャンパーソン」と共に客演を果たすという偉業を成し遂げていたり、
近年ではスペース・スクワッドシリーズで(チラリと)登場していたりします。
 名前だけは知っているけど実はまだ見たことがない……という方も結構いらっしゃるのではないでしょうか?
なので今回の配信にあたり、そうした初めて見る方や以前視聴された方の視聴意欲を盛り上げられるような「おススメ記事」を執筆することを決めました。


 以降、個人的に選んだ4つのポイントでブルースワットを紹介したいと思います。



注意

極力ネタバレになるような紹介は避けたつもりですが、ふわーっと終盤までの『個人的感触』を多々語っていますし、1話のネタバレも含んでいます。
気にされる方はブラウザバックされることをご推奨します。















姿見えぬ敵(エイリアン)の脅威
 本作は、地球外知的生命体(エイリアン)を迎撃すべく設立された秘密組織『ブルースワット』が1話で壊滅するというショッキングな出だしから物語が展開していき、主人公となるのは『ブルースワット』の生き残りである隊員ショウ。
彼は同じく生き残った隊員のシグ、サラ達と共にエイリアン集団『スペースマフィア』と対峙していくことになります。
 このスペースマフィアなる組織は物語開始当初その全容が不明なだけでなく、所属するエイリアンたちが地球人に理解出来ない独自言語を用いていたため、一切正体不明の不気味な存在として異彩を放っています。
彼らエイリアンの最大の特徴は『インヴェード』と呼ばれる能力で人間に憑依、その体と意識を乗っ取ることが出来ます(物語が進むとともに能力のバリエーションが増えていきます)。
 このインヴェードを利用することでスペースマフィアは人間社会のありとあらゆる方面へエイリアンを送り込み、破壊工作などの謀略を推し進め、地球人たちに気取られることなく『密かな侵略』を進行させていくのです。
余談ですが、このスペースマフィアに類似した敵役として『超光戦士シャンゼリオンのダークザイド』『仮面ライダーカブトのワーム』が存在します。
ダークザイドは人間への変化、ワームは人間に擬態し記憶をもコピーする、とややアプローチは異なりますが「社会への工作」という形で人類の切り崩しにかかる侵略者たちを見比べてみるのも面白いと思います。




リアルエイリアンバトル
 先にもあった通り『ブルースワット』とは公にはされていないエイリアンを迎撃すべく設立された組織を指し、その生き残りであるショウたちが自分達のチーム名としてその名前を引き継いでいくこととなります。
本作のもう一つの見所はこのブルースワットの「極限まで演出されたプロフェッショナルっぷり」にあります。
『完全武装の特殊部隊』というのは放送前の番組予告にて用いられていたフレーズですが、そのフレーズに違わぬリアリティは彼らの立ち姿を見れば、一目瞭然。
頭部のヘルメットと胸部のプロテクター以外は隊員服、グローブも指抜きタイプと生身の露出が多いと同時に作戦時に求められる俊敏な動きが取りやすいデザインとなっています。
例外はあれど、全身が包まれている日本産デザインのヒーローを数多く見かける中でこれは異色と言えるでしょう(同じメタルヒーローシリーズではジライヤも生身の露出が多いヒーローでしたが、それ以外は全身を覆うメタリックな鎧を身に纏っているか、ロボットです)。
またブルースワットの主力装備の拳銃「ディクテイター」もリアル寄りなデザインで、当時のモデルガン雑誌でも特集が組まれたそうです。 
 見かけだけでなく、アクションシーンも「訓練を受けたプロによるオペレーション」が堪能できるように作り込まれており、

「ミサイルランチャー、火炎放射器などのヒーロー作品では珍しい実在兵器も使用」
「前線の隊員と後方の指揮車輛とがリアルタイム通信で戦況の把握に努める」
「敵の弱点をスキャン(分析)し、武装や戦術を適時選択」

などなど戦闘指揮、情報通信、補給、といった概念も取り入れたリアルバトルが演出されています。




称賛されないヒーロー
 いきなり組織が壊滅し孤立無援となってしまったブルースワットたちが人類最後の砦として戦いに挑むのですが、その戦いの特性上ブルースワットは一貫して孤立無援で公に『ヒーロー』として認知されない存在として描かれます。
また主人公ショウは当初、生計を立てる手段としてブルースワットの任務に従事しているというスタンスだったこともあり、スペースマフィアへの抗戦を否定的に捉える場面も描かれます。
これは「仮面ライダー剣」とも共通してきますが、
組織や雇用、給与等によって正義を執行するプロフェッショナルが、承認してくれる帰属先を失い保証の一切を断たれてもなお正義を追求するのならば、何者になるのか?
それこそがヒーローであるーー

 片や「現実にエイリアンが現れたら国家機関はどのように対処するのだろうか?」というリアルシュミレーション的な設定を提示しつつも、フィクションの産物として見られがちで定義も曖昧な『ヒーロー』というあり方を一個人の目線から掘り下げていく重厚な人間ドラマがこの作品に見て取れるのです。
そして、序盤からエイリアンとの関連が示唆される隊員シグの物語も縦軸を大きく牽引していくものとして展開していきます。
また孤立無援としましたが、彼らの戦いに関わっていく人々は少なからず存在しそこで繰り広げられる悲喜こもごも、人知れず戦っていくチームの絆もこの作品の大きな魅力です。




紆余曲折と不屈のヒロイズム
 徹底したリアル路線を見せつけるブルースワットは中盤から路線変更が行われることとなります(サブタイトルの様式が大きく変化するのですぐに分かると思われます)。
コメディ要素の導入やエイリアンの描写も変化し、ブルースワット側にも従来作品で見られたような王道的なヒーロー路線の要素が導入されていきます。
 うーん、賛否両論というやつでしょうか……この路線変更に対しては否定的な意見も散見され、そのご意見を理解できる部分はあります。
初めての方にもおススメするスタンスの記事で、あえてこうした言及をしたのは今回初めて見られる方には自分の目で判断してもらいたい、紆余曲折ですら楽しんでもらいたいなぁと思ってのことです。
 個人的には対エイリアンという戦いの軸はブレずに進むので、むしろ話の幅が広まったのではないかな?ぐらいに捉えていますが……(特にブルースワット側に生ずる変化は、スペースマフィアとの戦いが激化・スケールの引き上げに伴った変化だと解釈すれば自然なのではないか?と思っています)。
『否』の意見が出る理由は路線変更前が好き過ぎた場合に出る反応で、恐ろしくクオリティが下がったとかつまらなくなったという類ではない、という印象を持っています。
 もう一つ声を大にして言いたいのがショウたちブルースワット側の人間ドラマを一貫して継続されるということです。先に上げたショウがヒーローになっていく物語、シグが抱える縦軸といったドラマの根幹は揺らぎません。
本作が今なお根強い人気を誇っているのは路線変更の波を受けてもなおドラマが堅持されたこと、そうした紆余曲折があったからこそ明日の平和を投げ出さない若者たちのヒロイズムがより浮き彫りになったからではないか?と思います。
何が変えられ、何がブレなかったのかーーそうした視点で作品を観るという楽しみ方もあろうかと思います。





 以上4点からブルースワットの魅力を語らせて頂きました。
この記事で興味を持たれた方、言われなくても最初から見る予定だった方、様々いらっしゃるかと思いますが、この流れで第1話「ビギニング!!」をご鑑賞して頂ければ一(いち)ブルースワット好きとしては光栄に思います。


Fighting!BLUE SWAT!
Go ahead!BLUE SWAT!