Go!プリンセスプリキュア第47話
「花のように…!つよくやさしく美しく!」(2016年1月10日放送)
ネタバレを含む考察・感想記事となります。
シリーズディレクター:田中裕太
脚本:伊藤睦美
絵コンテ:畑野森生
演出:畑野森生
作画監督:上野ケン
美術:斉藤優
偽りの理想郷
年明けを迎えて寮に戻ってきた一同にはるかは紅茶を淹れ、称賛を受けます。
プリンセスレッスン合格後も努力を続けた成果です。
さらにこの寒い季節に芽を出した花に降りかかった雪を払うはるか。
その花の名はスノードロップ……花言葉は希望だそうです。
上記2つの描写が大きな伏線になろうとは……。
他方、相次ぐ城の目覚めに揺れるディスダーク。
最後の「花の城」の目覚めを許せばホープキングダムへの支配が瓦解する…クローズは危機感を訴えますがディスピアは「もう良い…」と不敵な笑みを見せます。
カナタから花の城の異変を知らされ急行する一行。
そこではるかは謎の小鳥に話しかけられます。
その姿は花のプリンセスに登場したプリンセスを騙した小鳥とそっくり。
興味を引かれたはるかは小鳥に誘導されるがまま、城の中に入ってしまいます。
そこには理想的な世界が広がっていました。
気が付けばはるかは花のプリンセスと呼ばれ、自分を慕ってくれる王子様や多数の召使い、荘厳な城、豪勢な食事、イベント、ふかふかのベッド……何不自由ない幸せな環境がそこにはあったのです。
その世界を疑いなく満喫していたはるかですが、違和感を覚える事態が発生します。
ティータイムのお時間、はるかは自分で紅茶を淹れようとします。
が、王子様に制止されます。
レッスンしたからと主張するはるかですが、王子様はレッスンはプリンセスに必要ないと笑顔で説きます。
「あれ…私レッスンなんていつやったんだっけ…?」(はるか)
幻想世界に順応してきたのか、記憶に障害が生じてきます。
「あなたはただ笑顔でいてくれればそれでいいのです」(王子様)
さらりととんでもないことを言ってのける王子様。
この世界の歪さの片鱗が見え隠れしていますが、この時のはるかはその言葉を美味しいクッキーと共に受け入れます。
その頃、城の外にいるプリキュアたちはディスダークの攻勢に晒されます。
はるかに幻想の世界、自身が抱いた夢そのものを具現化した世界に閉じ込めることがディスピアの戦略だったのです。
絶望で押しつぶすのではなく、はるかが願った夢そのものをトラップとして利用した絡め手。
この後言及されるこの作戦の真の目的も含めてやはり策士と言わざるを得ません。
終わりなき夢の果て【プリンセスの答え】
幻想世界の花畑を王子様と共に一望するはるか。
その光景に素敵だと感じる彼女ですが、再び違和感に遭遇します。
王子様とここへ来た記念として花の種を植えようとするのですが、種は自ら地面に突入し即座に花を咲かせます。
その様にはるかは衝撃を受けます。
「どうして…どうしてすぐに花が咲くの……?」(はるか)
はるかの動揺を意にも介しない王子様と小鳥。
花が咲いたのだからそれでいい。
この幸せ溢れる世界では永遠に枯れない。
この世界の形こそはるかの望んだ夢ではないか?と彼らは突きつけます。
「花は…花は…花はこんな風に咲いた…?」(はるか)
「違う。これは花なんかじゃない」
「綺麗に咲くから美しいんじゃない。花が美しいのは土に根を張り、太陽の光へ手を伸ばし、寒さに耐え、
葉を広げ、そうやっていつか美しく花を咲かせようと頑張るから。自分の力で精一杯努力して……」(はるか)
世界の歪さに気づき、自分がこれまで歩んできた努力の軌跡をはるかが思い出したことにより、世界は色を失います。
小鳥は何が不満なのか?プリンセスとしての幸せ、自分の夢が得られたではないか?と問います。
しかし、はるかはもう首を縦には振りません。
「何の努力もしないで叶う夢なんて…夢じゃない!!」(はるか)
その一言で世界は完全に崩壊し、小鳥はクローズの姿へと戻ります。
小鳥や王子様とのやりとりからははるかとクローズのこれまでのぶつかり合いのニュアンスが見て取れますし、花のプリンセスを読み込んだと思われる世界観ははるかの好敵手であるクローズがそれなりに夢への理解を深めている証でもあると思われます。
今回はディスピアが立案した作戦でその実行役としてクローズが選ばれたようですが、彼は失敗することを予期していたようです(これまでの対峙からの予測であると同時にそれなりに認めているということではないでしょうか?)。
はるかはフローラへと変身、城の外へ脱出します。
拳を交えるフローラとクローズ。
その様子を見守る一同。
「あのまま幸せに暮らしていればよかったのに!!」(クローズ)
「あんな世界、ちっとも幸せじゃない!やれることは自分でやりたい、そのためにレッスンだってやってきた!それがきっと私の夢に本当のプリンセスに繋がっているから!!」(フローラ)
フローラの言葉に全員が何かしら感じ入ることがあったはずです。
ここで今まではるかを指導してきたミス・シャムールの表情がクローズアップされる意味…とても深いです。
さりとてクローズも引き下がりません。
「お前の夢ってなんだ?本当のプリンセスってなんだ?
キーが全部揃ってるのに今だにグランプリンセスにもなれてねえ。どうすればなれる?いつなれる!?」(クローズ)
「…!!」(フローラ)
「そうだ、お前の夢なんて本当はどこにもない。終わりのない夢をお前は追い続けているんだ!!」(クローズ)
「!!…終わりがない…?」(フローラ)
昨日今日で出てくる否定の論ではないでしょう。
絶望という概念でその身に沁み込ませていく過程で夢への理解を深め『負』の側面を浮き彫りにしていく…付け焼き刃ではないある角度からは正論とも取れるクローズの「終わりのない夢」に衝撃を受けるフローラ。
しかし、その反応はこれまでのピンチで見せた打ちのめされたとも絶望したとも違う、意味深な反応です。
クローズが放ったトドメの光弾が決まった…かと思いきやフローラはそれを受け止めました。
ある事実に気づいた笑顔と揺るぎない信念を持ってフローラは語りだします。
「終わりがない…そう、私の夢に終わりなんてないんだ」
「私の夢は、大地に咲く花のようにつよく、やさしく、美しくあること。
たとえどんな苦しみや悲しみの中にあってもずっとずっといつまでもつよく、やさしく、美しくあり続ける存在。
それが私のなりたいプリンセス」(フローラ)
番組開始当初から恐らく誰もが漠然と思っていたであろうはるかの夢の着地点をどこに設定するのか?という問題。
プリンセスのようになりたいという漠然としたある種ファンタジーの延長線上とも取れる夢の行く先…それは『プリンセスプリキュア』という存在とイコールではなく、かといって具体的な職業を提示するのも難しい。
ですが、この作品はそれに対する解答を提示しました。
つよく、やさしく、美しく。
1年を通してプリキュアが見せてくれた心のあり方、生き様こそがはるかの夢見ていた『プリンセス』である。
『終わりのない夢』
ともすれば無間地獄とも取れるクローズの放った言葉が光明を与えたというのは皮肉なのか、それとも必然なのか。
この瞬間、はるかはついに自分だけのプリンセスを見つけたということなんですね……。
これまでの試練、絶望による浸食だけでなく夢そのものが自分達を追いつめるという難関を乗り越えた末の到達点。
ここまで来るともう精神攻撃は通用しません。(故に以降の戦いはほぼ『物理』です)
城に憑りついていたメツボーグを浄化するプリキュアたち。
フローラが花の城を目覚めさせ、ホープキングダムの大地に花が咲き誇ります。
更に4本目の虹が空に差し、その光に当てられたディスダーク拠点『絶望の森』が完全消滅。
ホープキングダムはディスダークの支配から完全に解放されます。
あとは絶望の檻に閉じ込められた人々を救い出すだけ…。
ですが、それを成せるのはグランプリンセスのみ。
まだフローラたちはグランプリンセスへと到ったわけではありません。
が、自分達のあり方とプリンセスの道に気づいたプリキュア達にミス・シャムールは太鼓判を押し、彼女たちならなれると信じます。
しかし、決意を高めようとするプリキュアたちに降りかかってくるディスピアの魔の声。
「いいだろう、ホープキングダムはお前たちに返そう。だが、絶望は…止められない」(ディスピア)
引っ掛かりを残す言動。フローラはディスピアの思惑を察します。
ディスピアはホープキングダムを捨て、新たな狩場として人間界・ノーブル学園を選んだのです……。
総括
大方の語りたいことは本文中で語ってしまった気もしますが、「ただ与えられた夢に価値はない」「生き様こそがプリンセスだった」という明確な回答が最終決戦前に提示されるのはなかなか異例な展開ではありますが、非常に納得できる力強いメッセージの打ち出しにもなっていたと思います。
これまでのストーリーを見ていればこの結論に辿り着くのは必然だったのでしょう。
プリンセスの夢の落としどころを明確に言ってのけるというのはなかなかスタッフ的には勇気がいることだったのではないか?とも思います。
ですが、それを出来たのはやはり見てくれる側、特に子供に伝えたいという真摯な思いがあればこそなのでしょう。
だから、この作品を愛してやまない人達が多いのだと私は思います。
敵側もなかなか注目すべき点が多かったですね。
あくまでも時間稼ぎとして今回の作戦を立案し、人間界侵攻という新たなステップへと移行したディスピアの確かな戦略眼。
そして、はるかと夢の絶対的な否定者足らんとするクローズがはるかが幻想を打ち破ることを予期していたり…などとラストに繋がる伏線が既に見え隠れしているのも見逃せません。
黒須君の潜入作戦もそうでしたが、復活以降はなかなか手が込んだ作戦を多用しますねクローズは。
彼の言ってる夢の負の側面も一概に否定は出来ないからまた難儀だという……同時に彼がそれなりに夢を学んでいることの証左だとも思うのですが…。
実は今回のお話と酷似した物語構造、いやそれだけでなくシナリオの精神もかなり共通することが多い某特撮作品を取りあげようとも思ったのですがそちらは…ちょっと別枠で特集しようかなとも考えています(分量がかなり多くなるかもしれないし、自分としておまけコーナー程度ではなくがっつり比較をしたいなと思っているので)
どの作品を取り上げるかはまぁその時のお楽しみということにしたいのですが…普段の記事の傾向から何となく推測は出来るかもしれませんw
通りすがりの何とやら……ヒントはこんな感じ。
次回は人間界へと侵攻するディスピアとの決戦!
しかし立ちはだかったのはなんとロック…!?という怒涛の展開を見せる第48話「迫る絶望…!絶体絶命のプリンセス!」となります。
次回も乞う、ご期待!
年明けを迎えて寮に戻ってきた一同にはるかは紅茶を淹れ、称賛を受けます。
プリンセスレッスン合格後も努力を続けた成果です。
さらにこの寒い季節に芽を出した花に降りかかった雪を払うはるか。
その花の名はスノードロップ……花言葉は希望だそうです。
上記2つの描写が大きな伏線になろうとは……。
他方、相次ぐ城の目覚めに揺れるディスダーク。
最後の「花の城」の目覚めを許せばホープキングダムへの支配が瓦解する…クローズは危機感を訴えますがディスピアは「もう良い…」と不敵な笑みを見せます。
カナタから花の城の異変を知らされ急行する一行。
そこではるかは謎の小鳥に話しかけられます。
その姿は花のプリンセスに登場したプリンセスを騙した小鳥とそっくり。
興味を引かれたはるかは小鳥に誘導されるがまま、城の中に入ってしまいます。
そこには理想的な世界が広がっていました。
気が付けばはるかは花のプリンセスと呼ばれ、自分を慕ってくれる王子様や多数の召使い、荘厳な城、豪勢な食事、イベント、ふかふかのベッド……何不自由ない幸せな環境がそこにはあったのです。
その世界を疑いなく満喫していたはるかですが、違和感を覚える事態が発生します。
ティータイムのお時間、はるかは自分で紅茶を淹れようとします。
が、王子様に制止されます。
レッスンしたからと主張するはるかですが、王子様はレッスンはプリンセスに必要ないと笑顔で説きます。
「あれ…私レッスンなんていつやったんだっけ…?」(はるか)
幻想世界に順応してきたのか、記憶に障害が生じてきます。
「あなたはただ笑顔でいてくれればそれでいいのです」(王子様)
さらりととんでもないことを言ってのける王子様。
この世界の歪さの片鱗が見え隠れしていますが、この時のはるかはその言葉を美味しいクッキーと共に受け入れます。
その頃、城の外にいるプリキュアたちはディスダークの攻勢に晒されます。
はるかに幻想の世界、自身が抱いた夢そのものを具現化した世界に閉じ込めることがディスピアの戦略だったのです。
絶望で押しつぶすのではなく、はるかが願った夢そのものをトラップとして利用した絡め手。
この後言及されるこの作戦の真の目的も含めてやはり策士と言わざるを得ません。
終わりなき夢の果て【プリンセスの答え】
幻想世界の花畑を王子様と共に一望するはるか。
その光景に素敵だと感じる彼女ですが、再び違和感に遭遇します。
王子様とここへ来た記念として花の種を植えようとするのですが、種は自ら地面に突入し即座に花を咲かせます。
その様にはるかは衝撃を受けます。
「どうして…どうしてすぐに花が咲くの……?」(はるか)
はるかの動揺を意にも介しない王子様と小鳥。
花が咲いたのだからそれでいい。
この幸せ溢れる世界では永遠に枯れない。
この世界の形こそはるかの望んだ夢ではないか?と彼らは突きつけます。
「花は…花は…花はこんな風に咲いた…?」(はるか)
「違う。これは花なんかじゃない」
「綺麗に咲くから美しいんじゃない。花が美しいのは土に根を張り、太陽の光へ手を伸ばし、寒さに耐え、
葉を広げ、そうやっていつか美しく花を咲かせようと頑張るから。自分の力で精一杯努力して……」(はるか)
世界の歪さに気づき、自分がこれまで歩んできた努力の軌跡をはるかが思い出したことにより、世界は色を失います。
小鳥は何が不満なのか?プリンセスとしての幸せ、自分の夢が得られたではないか?と問います。
しかし、はるかはもう首を縦には振りません。
「何の努力もしないで叶う夢なんて…夢じゃない!!」(はるか)
その一言で世界は完全に崩壊し、小鳥はクローズの姿へと戻ります。
小鳥や王子様とのやりとりからははるかとクローズのこれまでのぶつかり合いのニュアンスが見て取れますし、花のプリンセスを読み込んだと思われる世界観ははるかの好敵手であるクローズがそれなりに夢への理解を深めている証でもあると思われます。
今回はディスピアが立案した作戦でその実行役としてクローズが選ばれたようですが、彼は失敗することを予期していたようです(これまでの対峙からの予測であると同時にそれなりに認めているということではないでしょうか?)。
はるかはフローラへと変身、城の外へ脱出します。
拳を交えるフローラとクローズ。
その様子を見守る一同。
「あのまま幸せに暮らしていればよかったのに!!」(クローズ)
「あんな世界、ちっとも幸せじゃない!やれることは自分でやりたい、そのためにレッスンだってやってきた!それがきっと私の夢に本当のプリンセスに繋がっているから!!」(フローラ)
フローラの言葉に全員が何かしら感じ入ることがあったはずです。
ここで今まではるかを指導してきたミス・シャムールの表情がクローズアップされる意味…とても深いです。
さりとてクローズも引き下がりません。
「お前の夢ってなんだ?本当のプリンセスってなんだ?
キーが全部揃ってるのに今だにグランプリンセスにもなれてねえ。どうすればなれる?いつなれる!?」(クローズ)
「…!!」(フローラ)
「そうだ、お前の夢なんて本当はどこにもない。終わりのない夢をお前は追い続けているんだ!!」(クローズ)
「!!…終わりがない…?」(フローラ)
昨日今日で出てくる否定の論ではないでしょう。
絶望という概念でその身に沁み込ませていく過程で夢への理解を深め『負』の側面を浮き彫りにしていく…付け焼き刃ではないある角度からは正論とも取れるクローズの「終わりのない夢」に衝撃を受けるフローラ。
しかし、その反応はこれまでのピンチで見せた打ちのめされたとも絶望したとも違う、意味深な反応です。
クローズが放ったトドメの光弾が決まった…かと思いきやフローラはそれを受け止めました。
ある事実に気づいた笑顔と揺るぎない信念を持ってフローラは語りだします。
「終わりがない…そう、私の夢に終わりなんてないんだ」
「私の夢は、大地に咲く花のようにつよく、やさしく、美しくあること。
たとえどんな苦しみや悲しみの中にあってもずっとずっといつまでもつよく、やさしく、美しくあり続ける存在。
それが私のなりたいプリンセス」(フローラ)
番組開始当初から恐らく誰もが漠然と思っていたであろうはるかの夢の着地点をどこに設定するのか?という問題。
プリンセスのようになりたいという漠然としたある種ファンタジーの延長線上とも取れる夢の行く先…それは『プリンセスプリキュア』という存在とイコールではなく、かといって具体的な職業を提示するのも難しい。
ですが、この作品はそれに対する解答を提示しました。
つよく、やさしく、美しく。
1年を通してプリキュアが見せてくれた心のあり方、生き様こそがはるかの夢見ていた『プリンセス』である。
『終わりのない夢』
ともすれば無間地獄とも取れるクローズの放った言葉が光明を与えたというのは皮肉なのか、それとも必然なのか。
この瞬間、はるかはついに自分だけのプリンセスを見つけたということなんですね……。
これまでの試練、絶望による浸食だけでなく夢そのものが自分達を追いつめるという難関を乗り越えた末の到達点。
ここまで来るともう精神攻撃は通用しません。(故に以降の戦いはほぼ『物理』です)
城に憑りついていたメツボーグを浄化するプリキュアたち。
フローラが花の城を目覚めさせ、ホープキングダムの大地に花が咲き誇ります。
更に4本目の虹が空に差し、その光に当てられたディスダーク拠点『絶望の森』が完全消滅。
ホープキングダムはディスダークの支配から完全に解放されます。
あとは絶望の檻に閉じ込められた人々を救い出すだけ…。
ですが、それを成せるのはグランプリンセスのみ。
まだフローラたちはグランプリンセスへと到ったわけではありません。
が、自分達のあり方とプリンセスの道に気づいたプリキュア達にミス・シャムールは太鼓判を押し、彼女たちならなれると信じます。
しかし、決意を高めようとするプリキュアたちに降りかかってくるディスピアの魔の声。
「いいだろう、ホープキングダムはお前たちに返そう。だが、絶望は…止められない」(ディスピア)
引っ掛かりを残す言動。フローラはディスピアの思惑を察します。
ディスピアはホープキングダムを捨て、新たな狩場として人間界・ノーブル学園を選んだのです……。
総括
大方の語りたいことは本文中で語ってしまった気もしますが、「ただ与えられた夢に価値はない」「生き様こそがプリンセスだった」という明確な回答が最終決戦前に提示されるのはなかなか異例な展開ではありますが、非常に納得できる力強いメッセージの打ち出しにもなっていたと思います。
これまでのストーリーを見ていればこの結論に辿り着くのは必然だったのでしょう。
プリンセスの夢の落としどころを明確に言ってのけるというのはなかなかスタッフ的には勇気がいることだったのではないか?とも思います。
ですが、それを出来たのはやはり見てくれる側、特に子供に伝えたいという真摯な思いがあればこそなのでしょう。
だから、この作品を愛してやまない人達が多いのだと私は思います。
敵側もなかなか注目すべき点が多かったですね。
あくまでも時間稼ぎとして今回の作戦を立案し、人間界侵攻という新たなステップへと移行したディスピアの確かな戦略眼。
そして、はるかと夢の絶対的な否定者足らんとするクローズがはるかが幻想を打ち破ることを予期していたり…などとラストに繋がる伏線が既に見え隠れしているのも見逃せません。
黒須君の潜入作戦もそうでしたが、復活以降はなかなか手が込んだ作戦を多用しますねクローズは。
彼の言ってる夢の負の側面も一概に否定は出来ないからまた難儀だという……同時に彼がそれなりに夢を学んでいることの証左だとも思うのですが…。
実は今回のお話と酷似した物語構造、いやそれだけでなくシナリオの精神もかなり共通することが多い某特撮作品を取りあげようとも思ったのですがそちらは…ちょっと別枠で特集しようかなとも考えています(分量がかなり多くなるかもしれないし、自分としておまけコーナー程度ではなくがっつり比較をしたいなと思っているので)
どの作品を取り上げるかはまぁその時のお楽しみということにしたいのですが…普段の記事の傾向から何となく推測は出来るかもしれませんw
通りすがりの何とやら……ヒントはこんな感じ。
次回は人間界へと侵攻するディスピアとの決戦!
しかし立ちはだかったのはなんとロック…!?という怒涛の展開を見せる第48話「迫る絶望…!絶体絶命のプリンセス!」となります。
次回も乞う、ご期待!
自分は何者になりたいのか?
ゴールは一体どこにあるのか?
その答えは『つよく、やさしく、美しくありたい。だからゴールなんてない』。
バカにしてるのか!?とも言える解答ですが、はるかが導き出した答えはまさに求道者の精神そのものなんですよね。
答えは実は最初から自分の中にあった、と。
序盤ではイメージすら覚束なくはっきりと言葉にできなかった解答が、一年経った今では力強く、胸を張って言えるようになっている。
ノーブル学園で過ごした日々が、沢山の人たちとの出会いがはるかをここまで強くした。
本当に見事ですよねこの流れ…。
そしてこれが49話でついに形となって…!
と、ここから更に面白くなるのだからもう…w
はるかのどこまでも終わりなき路を歩み続けんとする生き様を見て思い浮かべるのが、格闘ゲーム:ストリートファイター3を原作としたマンガ『RYU FINAL』です。
『真の格闘家』を目指し旅を続けるリュウが何のために拳を奮うのか、という迷いを抱えながらも、数々の格闘家たちとの戦いを経てついに『風の拳』という一撃必殺の境地に到達する。
自身の記憶に刻まれた『真の格闘家』であり、『殺意の波動』という死と破壊をもたらす一撃必殺の使い手(要は風の拳と真逆の力です)豪鬼との最後の戦いに…
というあらすじのマンガなんですが、なんか、似てるんですよ、このリュウの哲学的な生き様が…。
機会があれば是非ご一読頂きたいのですが、問題はかなり古い作品(単行本が99年刊行)なので入手が難しいところ、ゲーム原作マンガなのでストリートファイターシリーズの知識が多少なり必要になってくるところですね…。