ウルトラマンガイア 第10話「ロック・ファイト」(1998年11月7日放送)



ネタバレを含む考察・感想記事となります。



宇宙戦闘獣 コッヴII  登場


監督   村石宏實
脚本   小中千昭
特技監督 村石宏實

知恵を司るカラス【チーム・クロウ】


『チーム・クロウ』

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度々本編で存在が言及されていたXIGスカイチームであり稲城美穂リーダーを始めとする女性だけで編成されるチーム。
今回は今までなかなか出撃命令が降らなかった彼女たちをフォーカスする物語となっています。


(ちなみにクロウは鳥類の中でもっとも知能が高いとされるカラスからの由来だそうです)


「我々クロウを出撃させないのは女だからですか?」(稲城)
「私を男性優位主義者だと思うのならそれでもいい。現状のチーム・クロウを実践投入するつもりはない」(堤)
「優れた戦力を持つ部下を使わないのは、指揮官としての無能を問われませんか?」(稲城)
「……以上だ」(堤)




出撃を許可しない堤チーフにクロウのメンバーが意見具申するバッチバチの修羅場が冒頭から繰り広げられます(怖い)。

この場面以外にも堤チーフ以外にも千葉参謀やチーム・ライトニングの面々のなどなどクロウを中々認めない『男性』たちの姿は散見され、『男女』という構図は意図的に組まれたものなのではないか?と思います。



管理人も初見時は「優位主義者とか難しい言葉使うなぁ…」などと思ったものですが、
ティガ、ダイナという平成三部作の流れで見るとガイアでこのお話を設けるのは必然だなと、今にして納得する部分があるのです。




ここで平成三部作における防衛チームの女性レギュラーメンバーとそのポジションをまとめてみましょう。


ティガ:イルマ・メグミ(GUTS隊長) ヤナセ・レナ(パイロット)


ダイナ:ユミムラ・リョウ(パイロット) ミドリカワ・マイ(主にオペレーター)


ガイア:佐々木敦子(オペレーター) ジョジ-・リーランド(オペレーター)
    稲城美穂(チームクロウリーダー) 三島樹莉(チームクロウ) 多田野慧(チームクロウ)




パッと見だとダントツでガイアの女性メンバー数が多いのですが、これは10話になってからの話で、それまではガイアのみ前線に出る女性キャラクターがいない状態でした。
ジェンダー論に持っていく気は毛頭ないし、自分にはそれを語る知識もありません。
ですが、ウルトラシリーズ初の女性隊長を登場させたティガから始まる平成三部作。
男と肩を並べて女性も戦うんだ、という作劇のストーリーを何処かで差し挟もう、色眼鏡を吹き飛ばす突破力をつけた物語として描きたいという判断はあったのではないかと推察します。




今話で登場する惑星破壊機『ヴァ―サイト』。
コッヴⅡの幼獣を多数腹に抱えたこの物体の攻撃作戦において、全スカイチームの出撃命令が下されチームクロウも初の出撃命令を受領します。
そこでクロウは獅子奮迅の働きを見せます。
敵の電磁パルスによって通信が妨害される中、手話信号で連携を取りスカイチームの中で唯一空中戦を続行、
ヴァ―サイトに打撃を与えただけでなく、
多田野隊員が偶然聞いていた『ロック』音楽をヴァ―サイト内部に送り込むことで内部の多くのコッヴを死滅させ、地球への落下地点を変えることに成功します。



手話信号は腐らずに努めていた訓練の賜物でしょうし、
勝機を導いた『ロック』は彼女たちが愛好する音楽でありサブタイトルの回収となっています。



その後地上に現れたコッヴⅡの成獣及び幼獣をガイアが撃破し、スカイチームは帰投します。


「チーフ、見直していただけました?」(稲城)
「チームクロウには男性のチームには出来ない、女性らしい任務があるはずだ。…と考えていた」
「しかし、そういう時代ではないようだ。どうやら俺は古い人間らしい」(堤)



差別してはいなかったものの、やはり性別というフィルターをかけていたことを認め、クロウの功績を認める堤チーフ。
笑いながら自分を『古い人間らしい』と戒める姿は、理解ある理想の上司と称賛を送りたい。


ついに認められたチーム・クロウメンバー。
「よっしゃ!!!」と喜びを露わにしたところで今回の物語は終わります。




最初の脅威を改めて考えよう【コッヴとは?】


大方の話題を語り尽しはしましたが、もう一つ触れておかねばならないシーンがあります。


それはコッヴⅡの成獣を相手にするガイアの前に幼獣のコッヴⅡが現れた時の反応です。

孵化した数体の幼獣は十分脅威と成り得るため、攻撃するしかありません。
しかし、ガイアは一瞬躊躇ってしまい、その隙を成獣に突かれ苦戦に追いやられます。

その後スカイチームの援護を受け、全てのコッヴⅡを撃破、勝利を収めるのですが…


この時ガイアが見せた『生物を殺すことに対する躊躇い・躊躇』は後の展開に繋げる為欠かせない反応だったと言えるでしょう。
(幼く、そして生まれ出でる瞬間を見たから『命を意識してしまった』と考えます)



最初に確認された地球外生命体であるコッヴは人類から見た根源的破滅招来体の『アイコン』的存在です。
(事実ギール、アパテー、アネモス、クラブガンが動き出した背景の一つとしてコッヴの出現が関与しているのでは?と劇中にて言及されています)

この怪獣の登場によって人々は根源的破滅招来体の存在を確信し、戦いが始まることとなるのは皆様ご承知の通り。
より知られている分、人類にとって他の怪獣よりも濃く恐怖・脅威の存在として語られるのですが、その事実認識が後に誤りであったと語られ、物語は大きな転機を迎えます。



最初の怪獣として登場したコッヴ(ヴィジョンの龍もいるんですけど、まぁ……)。
ヴィジュアルも印象的ではありますが、作品のキーとなる『敵・怪獣の定義』に大きな影響力を持ち続けた怪獣としても記憶しておきたいところです。



いつもの総括…はしようにも大体語り尽したので今回は無しでお願いします(笑)
まだまだスタイルが固まっていない、出来立てのブログなのでご容赦を…。






次回は待っていましたチームハーキュリーズ再登場とキーパーソン怪獣ミズノエノリュウが登場する11話『竜の都』となります。



次回も乞う、ご期待!!