当ブログでも度々触れている『コードギアス 復活のルルーシュ』のBlu-ray&DVDが先日発売されました。
自分は『A-on STORE限定版』を購入しましたが、じっくり巻き戻してみられるソフト版だと細かい演出意図や初見時では気づけなかった点、メカアクションの美麗さをより堪能できると実感しました。
特典ディスクにはピクチャードラマ『深海のカケラ』が、A-ONSTORE限定版ではこれに加えて「密談のハマム」が収録されています(他にもビジュアルコメンタリーや舞台挨拶などなど)。
両ピクチャードラマも既に視聴しましたが、復活のルルーシュではカバーされていなかった方面の「コードギアスらしさ」が詰まった痛快で笑みがこぼれそうな内容となっており見応え満点でした(ネタバレになるので詳しくは言えませんがあのBGMが流れたり、気になってたあんなキモチこんなキモチが明かされてたりします)。
ルルーシュを主役に据えた物語は完全に一段落となりますが、本編及び特典映像はシリーズの完全完結として納得出来る映像メディア群となっています。
作品のテーマと被りますが、R2最終回から約10年。あの衝撃のラストから復活を遂げるとは夢にも思わず過ごした日々だったわけで、再び巡り合った幸運、生きてて良かったなという幸福を感じられた気がします。





TVerの第43話配信ページです

 テンジョウの言葉と母の本音で笑顔に自信が持てなくなったえれな。
テンジョウの故郷・グーテン星で彼女と対峙し再び笑顔でいる意味を問われる……というのが今回のエピソード。
バトルパートからの流れである程度の決着を見せますが、ラストは初めて見せたえれなの涙と家族の抱擁で優しさや成長を画面一杯に伝えるという二層構造になっており、数週間に集中したエピソード群の集大成を感じさせます。
またトッパーからの提案でノットレイダー本拠地を割りだそうとする能動的な姿勢は基本守勢に回りがちなプリキュアでは珍しい描写に感じました(乗り込むことは多々ありましたが)。
 では各トピックへ移りましょう。


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グーテン星の上辺
 著しく文明が栄えているグーテン星、ノットレイダー本拠地分析の依頼をしたこの星がテンジョウの故郷でもある偶然から物語は加速します。
グーテン星では鼻の高さがステイタスとされており、プライドの高い住人は常に笑ってるという光景。
鼻が短いテンジョウはさぞ居心地が悪かったであろうと想像はつくのですが、彼女が心に傷を負ったのは直接的な差別を受けたからではなく、言葉では同情しつつも腹の中では見下しているという本音に気づいたからです。
 今作では助ける・守る・救う・同情するといった庇護的行為に対して「無自覚な傲慢ではないか?自分優位の再確認ではないか?」と疑義を呈する描写が散見され、テンジョウの過去もこれらの類型に属する描写であるように思えます。ヒーロー的な救済はともすると上から目線の、善意の押し付けになる可能性を孕んでいる……他人の気持ちに寄り添い、心情を汲む努力を怠るとテンジョウのような体験が量産されてしまうということではないでしょうか。
 故にこうした差別構造を目の当たりにしてもひかるたちが是正を促す、非難するなどの描写は一切なかったことにも注目したいです。
環境それぞれのルールやあり方に自分だけの正義感で介入するのもまた「善意の押し付け」になるのだとスタッフが理解しているのだと思われます。





太陽が笑顔を見た
 テンジョウの真実、母親の本音、苦しむえれなはキュアソレイユに変身しても本領を発揮できず、自らノットレイ化したテンジョウに苦戦します。
笑顔に翻弄されるえれなを救ったのはキュアセレーネ・まどかの湛える笑顔でした。
「えれな、大丈夫?」「自分を信じて……」
この一瞬を描きたいがためにえれなのドラマの合間にまどかのエピソードを差し挟んだのではないか?相互に照らし合う二人の関係性をグッと強めてきたのではないか?と思えるほどに澄んだまどかの笑顔と笑顔になるだけでなく笑顔を見ることで自分が得られる物に気づくえれなという構造が美しい。
 他人のために自分を犠牲にする笑顔ではなく、互いの笑顔を見ることで自分も笑顔になれるという『循環』であるとの結論を得たのではないかと個人的に解釈します。
笑顔を作るという側面はあるのかもしれない。しかしそれは他人のために強いたものではなく、自分のためでもあるのだという欲求が込められている…そのように胸を張った結論ではないでしょうか。





「私を笑顔にできて?」
 笑顔を諦めなかったキュアソレイユはついにトゥインクルイマジネーションを発現し、テンジョウノットレイに勝利します。テンジョウに寄り添ったソレイユは手を差し伸べますが、テンジョウはその手を取らずに去ります。
 帰宅後、えれなは母と一緒に夕食を作りながら涙を流します。
テンジョウを笑顔にすることが出来なかったから、それでも誰かと笑い合いたいから。
人を本気で思って流した娘の涙、新たな道への志を受け止め背中を押す家族の実に微笑ましいこと。
人のために涙を流すことは前々項トピックで触れた善意の押し付けやグーテン星人の上辺だけの笑顔と一線を画すという見方も出来ます。
また現実に打ちひしがれているということはえれなが口惜しさを感じている、つまりまだ諦めていないということですので今後も相対するであろうテンジョウやノットレイダーにどのようなアプローチをしていくのかに注目したですね。




 次回は、第44話「サプラ~イズ☆サンタさんは宇宙人!?」となります。




 プリキュアでは恒例のクリスマス回。しかし、彼女達に贈られるのは華やかなプレゼントではなく、敵首領ダークネストでした……実はクリスマスまでまだ1週余裕があるのですがこのタイミングでの展開、敵首領が来訪するということでかなりの重要回になると思われます。括目して見届けましょう。


 次回も乞う、ご期待!