先週の全米オープンゴルフを乗り越え2週間ぶりに訪れたニチアサタイム。
戦隊、ライダー、プリキュア三作とも新展開の目白押しで実に見応えがある時間でした。
特にプリキュアは新戦士キュアコスモの登場と山場を迎えましたが、未だわだかまりのあるブルーキャット・マオと如何に心を通わせていくのか?を丁寧にかつ、作品の内包する多様性を乗せて出力した傑作回であったと感じます。
では、各トピックへ……
残されたペンダントからの推理
ブルーキャットにフワとカラーペンを盗まれたプリキュアたち、幸いスターカラーペンダントが無事だったため即座に追跡に移るのですが、これを仲間たちがブルーキャットのミスに助けられたと論じる中ひかるは別の結論へと到ります。
まだノットレイダーが残る惑星から自分達が安全に脱出するため、変身能力の要であるペンダントをブルーキャットは見逃してくれた。
後のブルーキャットの動揺から大方事実と見て間違いないのですが(咄嗟の判断なので意識無意識を問う話ではないかもしれない)心情的に信じたかった、だけでなく「盗まれなかった者から真意を見抜く」というミステリードラマでの刑事さながらの推理はひかるの賢さを感じられる展開であったように思います。
流浪の民レインボー
ブルーキャットが語ったのは、レインボー星人はその変身能力のため人々から忌み嫌われた種族であり、彼らが未開の惑星に移住し、惑星レインボーなる生存圏を確立したという過去の悲しい物語。
度々レインボーが宇宙星空連合未参加の惑星であることが言明されていましたが、惑星の成立経緯を知ると嫌な意味で納得できてしまいやりきれなくなります……ノットレイダー幹部たちと同じような悲しい背景を抱えている異星人がやけに多いのも作品の志向する方向もあってのものなのでしょうね(大きな政治システム・秩序が安定した巨大コミュニティの中で生きてきたララは彼らと対照的な異星人として設定されているのでしょう)。
回の終盤、ひかるはレインボー星人、ブルーキャットらのコンプレックスである変身能力を「自分達にはない個性」「知らないからもっと知りたい」という受け止めで光を当てます。
感傷的な同情ではなく良い意味の貪欲な想像力で包み込んでいく、前向きかつ柔軟な救いの言葉は本作の示す多様性を象徴すると言っても過言ではありません。
またキュアコスモがスペクトルや三角といった「プリズム」がモチーフとされているのも「見る者の角度によって輝きが変わる」という特性をひかるとブルーキャットの関係に準えているからではないでしょうか。
「私とあなたは同じよ」「ブルーキャットと同じフワ!」
ぶつかり合うプリキュアとブルーキャット。
しかし、根底にある誰かを救いたい気持ちは「同じ」なのだと提示する二つの印象的な場面が描かれました。
最初はキュアスターとキュアスターに変装したブルーキャットとの対峙、もう一つはそれでも自分を守ろうとするプリキュアの真意を計りかねるブルーキャットにフワが気づかせるという形で。
前者は姿形を同一にしているからこそ相似性が際立ち(何も違わないことが浮き彫りになる)、後者はブルーキャットが言い放った言葉がブルーキャット自身に新たな決意を促す重要なシーンとなっており、作劇の上手さが感じられます。
「星のみんなは救いたい。でも、その前に……倒れているんだ、目の前で、この子たちが!」
プリキュアを庇うため、アイワーンのノットリガーの前に立ちはだかるブルーキャット。利己主義者、周囲からそう見られていただけでなく自ら星の復興のためそうあろうとしていたブルーキャットの心情の変化を象徴する台詞ですね。
「その前に」「目の前で」というワードは、目的達成のための最短距離を走るブルーキャットがひかるたちを天秤にかけることが出来なくなった、互いの道が合流したと認識したのだということを如実に物語っています。
今回の脚本を担当されたのはシリーズ構成も務める村山功氏ですが、今回に限らず氏の担当された回では何気ない台詞が文脈の連なりで輝くことが多く、磨かれた原石がダイヤモンドへと化けるかのような感動を度々味わえます。
宇宙を舞台にしたコミュニケーション劇であるからこそ、言葉というツールに重きを置いているのかもしれませんね。
なんと前中後編の3話構成だったことに驚いてしまいますが、単体で見ても今回はドラマアクションのバランスが実に取れていて、またなぜブルーキャットがプリキュアになれたのか?という経緯を徹底的に掘り下げた、新戦士初登場回として満足のいく内容でした。
戦隊、ライダー、プリキュア三作とも新展開の目白押しで実に見応えがある時間でした。
特にプリキュアは新戦士キュアコスモの登場と山場を迎えましたが、未だわだかまりのあるブルーキャット・マオと如何に心を通わせていくのか?を丁寧にかつ、作品の内包する多様性を乗せて出力した傑作回であったと感じます。
では、各トピックへ……
残されたペンダントからの推理
ブルーキャットにフワとカラーペンを盗まれたプリキュアたち、幸いスターカラーペンダントが無事だったため即座に追跡に移るのですが、これを仲間たちがブルーキャットのミスに助けられたと論じる中ひかるは別の結論へと到ります。
まだノットレイダーが残る惑星から自分達が安全に脱出するため、変身能力の要であるペンダントをブルーキャットは見逃してくれた。
後のブルーキャットの動揺から大方事実と見て間違いないのですが(咄嗟の判断なので意識無意識を問う話ではないかもしれない)心情的に信じたかった、だけでなく「盗まれなかった者から真意を見抜く」というミステリードラマでの刑事さながらの推理はひかるの賢さを感じられる展開であったように思います。
流浪の民レインボー
ブルーキャットが語ったのは、レインボー星人はその変身能力のため人々から忌み嫌われた種族であり、彼らが未開の惑星に移住し、惑星レインボーなる生存圏を確立したという過去の悲しい物語。
度々レインボーが宇宙星空連合未参加の惑星であることが言明されていましたが、惑星の成立経緯を知ると嫌な意味で納得できてしまいやりきれなくなります……ノットレイダー幹部たちと同じような悲しい背景を抱えている異星人がやけに多いのも作品の志向する方向もあってのものなのでしょうね(大きな政治システム・秩序が安定した巨大コミュニティの中で生きてきたララは彼らと対照的な異星人として設定されているのでしょう)。
回の終盤、ひかるはレインボー星人、ブルーキャットらのコンプレックスである変身能力を「自分達にはない個性」「知らないからもっと知りたい」という受け止めで光を当てます。
感傷的な同情ではなく良い意味の貪欲な想像力で包み込んでいく、前向きかつ柔軟な救いの言葉は本作の示す多様性を象徴すると言っても過言ではありません。
またキュアコスモがスペクトルや三角といった「プリズム」がモチーフとされているのも「見る者の角度によって輝きが変わる」という特性をひかるとブルーキャットの関係に準えているからではないでしょうか。
「私とあなたは同じよ」「ブルーキャットと同じフワ!」
ぶつかり合うプリキュアとブルーキャット。
しかし、根底にある誰かを救いたい気持ちは「同じ」なのだと提示する二つの印象的な場面が描かれました。
最初はキュアスターとキュアスターに変装したブルーキャットとの対峙、もう一つはそれでも自分を守ろうとするプリキュアの真意を計りかねるブルーキャットにフワが気づかせるという形で。
前者は姿形を同一にしているからこそ相似性が際立ち(何も違わないことが浮き彫りになる)、後者はブルーキャットが言い放った言葉がブルーキャット自身に新たな決意を促す重要なシーンとなっており、作劇の上手さが感じられます。
「星のみんなは救いたい。でも、その前に……倒れているんだ、目の前で、この子たちが!」
プリキュアを庇うため、アイワーンのノットリガーの前に立ちはだかるブルーキャット。利己主義者、周囲からそう見られていただけでなく自ら星の復興のためそうあろうとしていたブルーキャットの心情の変化を象徴する台詞ですね。
「その前に」「目の前で」というワードは、目的達成のための最短距離を走るブルーキャットがひかるたちを天秤にかけることが出来なくなった、互いの道が合流したと認識したのだということを如実に物語っています。
今回の脚本を担当されたのはシリーズ構成も務める村山功氏ですが、今回に限らず氏の担当された回では何気ない台詞が文脈の連なりで輝くことが多く、磨かれた原石がダイヤモンドへと化けるかのような感動を度々味わえます。
宇宙を舞台にしたコミュニケーション劇であるからこそ、言葉というツールに重きを置いているのかもしれませんね。
なんと前中後編の3話構成だったことに驚いてしまいますが、単体で見ても今回はドラマアクションのバランスが実に取れていて、またなぜブルーキャットがプリキュアになれたのか?という経緯を徹底的に掘り下げた、新戦士初登場回として満足のいく内容でした。
次回は、第21話「 虹色のスペクトル☆キュアコスモの力!」となります。
キュアコスモデビュー戦の行方、そしてバケニャーンの喪失で闘志を燃やすアイワーンの復讐は?
コスモがそのままひかる達の仲間として溶け込んでいけるのか?多くの疑問という名の期待を寄せながら来週を待ちたいと思います