彼と彼女が握ったもの

特撮やプリキュアの考察感想記事を投稿するブログです。 コメント大歓迎です!!初めての方でもお気軽にコメントしてくださると嬉しいです!

特撮やプリキュアの考察感想記事(ネタバレあり)をゆる~く投稿するしながらも時には熱く語っていきたい…そんな風に運営出来たらなと思います。 あとコメントはお気軽にどうぞ!!

2019年04月

【感想】スター☆トゥインクルプリキュア13話「ララのドキドキ初登校☆」

 記事投稿から数日後には平成が終わる、とあって忙しいやら楽しみやらで騒がしい世間。
当ブログは何処吹く風と言った体で通常更新でありますが、令和になったらもっと活動ペースを上げたい、より多くの方々に閲覧してもらうためには……とそれなりに欲を秘めていたりします。
ですが、とにかく毎週定期の更新を絶やさないようにとのささやかな目標で頑張り続けたいと思います。


 さて、本日取り上げるスタプリ13話も平成最後の放送回。


TVerの第13話配信ページです


晴れて「羽衣ララ」との名前を得たララは学校に通ってみたい、と希望するのだが……で始まった13話。
話数的には1クールの締めとなるわけですが、実際の内容もひかるがララ達と出会い始まった序章の物語に一段落つけるストーリーになっており、気持ち良い余韻に浸れる平成最後の放送になったと思います。

@ok



では、各トピックに移りましょう。





変わってる
アブラハム監督が入学手続きを済ませていたこともあり、スムーズに始まったララの学校生活。
ひかると同じクラスに転入となりましたが、外国から転校してきた(という設定)、転向早々学校の有名人えれな・まどかと既知の仲らしいとの物珍しさ、オヨやルンといった変わった語尾で注目を浴びる……だけでなく、そもそもサマーン星人の常識にない学校生活に悪戦苦闘。
掃除に失敗したララはクラスメート・軽部タツノリ(あだなはカルノリ)に「ララルンってマジ変わってるな」と言われ、ショックのあまり教室を飛び出しそのままロケットへ帰宅してしまいます(ひかるがララの鞄を届けている描写あり)。




「おはようルン……ございます」
AIとリンクしたグローブを外す学校初日を過ごしたララですが、翌日からは再び装着。
AIが助言する最適解に沿って、学業への活用だけでなく学生としての所作や語尾のオヨ・ルンを逐次矯正する姿はよく言えば馴染む努力ではありますが、個性を殺す瞬間を目撃しているようでとても痛々しい印象を受けます。
敬語文化を持たないからこそ年上のえれな・まどかにもフレンドリーに接していた彼女が「先輩」呼びで恭しくしているのも違和感……古くは「郷にいては郷に従え」と言ったものですが、誰が望んでいるのかその所在が分からぬままに『標準化』を求める現代社会への痛烈な風刺が込められた場面のように感じます。


波及を考える思考
グローブ着用で難なく2日目の学校生活を送ったララ。
違和感を感じたひかるは「(AI無しで)別に失敗したっていいじゃん!」とのエールを送りますが不発(ケンカ腰と思われかねない突発的な言動もある種ひかるらしさかなと思ったり)。
ララは自分がおかしいと自分と近しいひかる、えれな、まどかまでも変な目で見られてしまうから失敗は出来ないと胸の内を明かし、状況の継続を笑顔で宣言します。
ララの友達想いが強調されるシーンであると同時に、世間が交友関係という繋がりにどのような目を向けるのかといった部分を理解し気遣うといったアクションを取れるのは成人として扱われている者の洞察力を反映しているように思えます。



「楽しそうだったルン……私もみんなと楽しくなりたかったルン」
それでも、いや笑顔で無理をしているからこそやっぱりララを放っておけないひかるはチーム全員で休日登校。
改めてひかるに問い質されたララは、異星人・サマーン星人として地球の文明を調査するのはある種建前で、自分の欲求があったという本音を吐露、そしてひかる達と共に学校で「新しい体験を心待ちにする楽しさ」に気づいていきます。
自分の知らない世界を知りたい、そんな知的好奇心と密にリンクした感情が出力されており、イマジネーションをテーマとするスタプリらしい仕上がりになっていると感嘆するばかりであります。



テンプレートを避け続けるアクション
学校にて襲撃をかけてくるカッパード。
日曜日だと忘れて登校してくるタツノリをその視線が捉えた瞬間「ダークネストの力でカッパ―ドもノットリガー召喚能力を得たのかな?」とテンプレート化の予想をするも、タツノリのイマジネーションを取り込むことでカッパードの武装が変化・強化される(今回はサーフボードタイプでした)という斜め上の結果を映し出しました。
幹部の戦闘スキルに関しては、頑として譲らず独自路線を貫き続けるスタプリの意地をそこに見たような気がします。
作品の大きな持ち味として終盤まで頑張って欲しいと切に願うばかりです。





その名は、ルンちゃん
ノリで口を滑らせたことを反省していたカルノリは救出後にララの語尾が気に入っていると釈明、
更に翌日は女子クラスメート2名も自らララに話しかけ「ルンちゃん」とあだ名を命名。
曰く「ルン」の語尾が可愛いからだとか。
スタプリチームのキズナで掴み得た名前「羽衣ララ」のように、新しい名前が増えたことはララが属するコミュニティが増えたことを意味しています。
また新世界へと入っていく側のブレイクスルー、だけではなく、新世界の普遍的な人々が特別な過程を経るわけでもなく自然と理解・尊重し受け入れたというゴールは、現実がこのような寛容な社会であってほしいという製作側からの願いがひしひしと伝わってきます。



 ララの転校エピソードはコメディ全開!!ではなく、萎縮をもたらしやがては個性の抹殺へと到りかねない『異端児扱い』をどのように考えるか?
宇宙人だけでなく、現実社会の至る所で出会ってしまう場面への問題提起であり、多様性を追求するキラプリならではの方向性だったと言えるでしょう。
また、ララはAIが正しいと判断した情報を疑いなく享受し標準的地球人を演じようとしましたが、最終的に変わらぬ自分のままで未知なる学校生活を楽しむと決断しました。
フィルターの掛け方しだいで人間にとっての情報価値を大きく左右する鮮度が揺らいでいく……情報化社会の流れに良くも悪くも歯止めを掛けられない現実に対する投げかけもそこに込められているような気がします……。




次回は第14話 笑顔 de パーティ!家族のソンリッサ☆」となります。


えれなとその家族に触れられると予想されますが、個人的には現状弱点らしい弱点がないえれなのパーソナルな部分をどのように掘り下げていくのかが注目ポイントです。

次回も乞う、ご期待!

【感想】スター☆トゥインクルプリキュア12話「さよならララ!?映画監督は宇宙人☆」

 TVerの第12話配信ページです


 冬貴に正体がバレて危うしプリキュア!?の危機を救ったのは世界的有名映画監督P.P.アブラハム。
映画監督でありながら、その実態は宇宙星空連合調査員の任に就くミニチュラ星人の正体を持つ彼は宇宙法に違反(地球人に正体がバレている)したララたちを故郷へ強制送還しようとしますが……が今回のあらすじ。



hdexh



では、各トピックに移りましょう。


アドリブの暴走
異星人ララとそれにひかるら関わっていることがバレないようにするため、騒がれている宇宙人騒動は映画撮影(特殊撮影技術)だと誤魔化すアブラハム。
アブラハムに促されたプリキュアたちもその話に乗りますが、「私達、役者なんです!」とひかるのアドリブが暴走。
更に元々著名人であるアブラハムのビッグネームが災いし、日米関係まで巻き込んだ映画撮影を本当にしなければならなくなる羽目に。
救世主のような登場をしたアブラハムですが、自由奔放なひかるによって場のコントロールを奪われ面倒な立場を押し付けられる、この過程がなかなかにシュール。
この直後、宇宙船内では割と強めに不満と愚痴を表明するも、事の重大さに気づいていないひかるは「え?」と間の抜けた返事と表情……ハイカロリーな不条理ありがとうございます。
ちなみにアブラハム本人のキャラクターもなかなか作り込まれており、実在する映画監督を真似たと思われるネーミングは勿論のこと、人間のような姿は極小サイズの本体が操縦する機械仕掛けのボディであり、調査員として地球人類の文化を記録している内に映画監督になったのだとか。
またアブラハム本人の口から、あるいは彼とのやり取りの中でプリキュアやノットレイダー、スターカラーペン、12星座のプリンセスに関連する単語は一切出てきていません。
詳細な設定があるかは不明ですが、宇宙星空連合はプリキュア・ノットレイダーの戦いを関知していない可能性が高いように思われます。
なので今回は厳密に言うとプリキュア云々から始まった大芝居ではなく宇宙に適用された法との衝突に端を発した騒動であり、宇宙全体を舞台に広げたスタプリらしいハプニングと言えるでしょう。


忍法羽衣伝説妖怪スペースウォーズ
アブラハムは体面的に、ひかるたちはララが送還されないようにとそれぞれの想いが交錯し、要素大渋滞のタイトルが付けられて始まった映画撮影。


くノ一・星影:星奈ひかる
羽衣天女:ララ
太陽の王子:天宮えれな
月の姫:香久矢まどか

という配役で進みますが、ここからまたハプニング連発。
基本的に皆役者としては素人なためやや棒読みなのは仕方がないのですが、ひかるは「キラやば~!」ララは語尾にお馴染みの「ルン!」と台本にない台詞を言ったため駄目出し。
父親が見学に来ているため緊張がピークに達しているまどかは、アブラハムの「台本通り」との指示を台本にある所謂『ト書き』を一言一句間違いなく読み上げると誤解。
演技じゃないことをやっちゃってるわけなのですが、頑張りが空回りするまどかが可愛らしく見えるのは演じる小松未可子さんによる味付けが大ですね……全力で読み上げているため、ほぼほぼ息切れしている後半の喋りがとても健気です。
唯一、ワイヤーアクションで華麗に舞うえれなにはNGが出されず……完璧なキャラ造形が徹底されていますねー。



ダブルツッコミの功績
スタプリのツッコミ役と言えば我らがプルンスなのですが、災難に見舞われた(?)アブラハムもキレのあるツッコミでスタプリ勢に対峙します。
映画製作への熱意の表れでもありますが、アブラハムや映画そのものへ冷静にツッコむプルンスと演技指導を兼ねた激情のツッコミをするアブラハムはよくバランスが取れており、とても心地よい環境で物語に没入できました(優秀な二人が視聴者のツッコミを肩代わりしてくれた)。
良いキャラクターをしたアブラハムの再登場を願うばかりです。





カメラを止めるな!
アブラハムが製作した忍法羽衣(以下略)はララ演じる羽衣天女が仲間たちと別れ、故郷である天の川へ帰って完結する……予定でした。
ひかるは「今までありがとう。さようなら」と言わなければなりません。
しかし、ララとの思い出がフラッシュバックし、その一言がどうしても言えないひかる。
口を衝いて出たのは台本にない言葉。
「さよならなんて絶対嫌だよ!私はララと…ララとずっと一緒にいたい!!」
演技や映画は関係ない、心からの言葉。当然、台本とは違う流れに戸惑うスタッフ。
しかし、女の子たちの友情に心打たれたアブラハムは
「カメラを止めるな!」
と昨年随分と聞かされたような激を飛ばして、撮影を続行します。
個人的にこの台本はアブラハムがひかるたちに「別れの準備を済ませるため」に用意したのではないかと思っています(構図がほぼそのまんまですし)。
たとえフィクションであっても起きて欲しくないことは言の葉に乗せたくない少女たちのひたむきさと願望を乗せたアドリブを現実にしてしまう言葉の強さ。
後述のトピックとリンクしますが、映画という題材だから映える場面でした。




撮影続行
ダークネストによって更に強化されたアイワーンはアブラハムを素体にノットリガーを召喚、プリキュアは苦しめられます。
調子に乗ったアイワーンは映画を罵倒しますが、プルンスが言います。
「作り物じゃないでプルンス~あの感動は本物だったでプルンス~!」
アブラハムと同じくひかるたちのアドリブに感動したプルンスの応援を受け、キュアスターたちは「あのシーンの続きを見せて上げよう!」と反撃を開始します。
"続き"とは最初に用意された別れの物語ではなく、ひかるやララ達がアドリブで分岐させた「別れたくない物語」の続きであることは明白ですね。



映画(物語)は続く
ノットリガーを浄化したプリキュア。ですが、映画の撮影はオシャカとなります。
万事休すか、誰もが覚悟を固めますがアブラハムはやってきた帰還用ポッドに誰も乗せずそのまま送り返します。
「君達の星を超えた友情。私の心のフィルムにもしっかり焼き付けた。最高の感動をありがとう」
彼は既に絆で結ばれた少女たちの理解者となっていました。
地球で暮らすための名前を付けたらとのアドバイスに一同はひかるの提案した「羽衣ララ」で満場一致。
公認されたことによって、ララの地球生活は新たなステージを迎えることとなりエピソードは終了します。
この際のラストカットがまたも映画らしい、ニクい演出が施されています。
上下にフィルム状の帯が付けられていますが、これは本編中でも度々描写された「映画撮影用カメラの視点」であることを意味しています。
撮影は終わっているはずなのに、何の映画を撮っているのか?
それはアブラハムが望んだ「映画のパート2」でしょう。
羽衣天女ララが地球を去る悲劇のストーリーではなく、一緒にいたいひかるたちのアドリブによって生まれた全く新しい物語、その続編……つまりは第13話以降の物語がここから始まっていくのだと意味しているのではないでしょうか?
諦めたくない少女の生の感情が予定されていたフィクションを超え、シナリオのない体当たりなドキュメンタリーへと昇華させたことを同じカメラを通して伝えたかったのではないか?と深読みしてしまいます。
(ものすごくメタな見方をすると、映画と同じくこのプリキュア・アニメーションもまた"虚構の世界"であることを暗示した……とも解釈できるのですがそれは無い……と思います)。


 

 シリアス多めだった前回とは対照的にコメディタッチで紡がれるエピソードですが、映画撮影のシチュエーションを有効活用した見せ場も用意されており、バランスの取れたエピソードとして仕上がっていましたね。
また幹部たちの前にその姿を表した(と言ってもオーラですが)ダークネスト、その強大な力に意味深な表情を見せたバケニャーンとノットレイダー側の動きも見逃せません。






次回は、第13話「ララのドキドキ初登校☆」となります。 




これが平成最後のプリキュアテレビ放送回になりますが、待ちに待ったイベント回をここで投入してくるとは……地球潜伏生活から一歩進んだ学生生活を楽しみに待ちましょう。



 次回も乞う、ご期待!


【感想】スター☆トゥインクルプリキュア11話「輝け☆サザンクロスの力!」

 TVerの第11話配信ページです

 前回、惑星クマリンにて惨敗を喫したプリキュアたち。
責任を痛感するひかるは激しく落ち込みますが遼じいの理解や冬貴の調査といったアクションを受けつつ、スタプリ勢はひかるの力の根源とは?如何にしてこのチームが生まれたのか?を見つめ直し、再び誰かを助けるための戦いに身を投じる逆転劇を見せてくれました。
また、これまでなかなか明かされなかったノットレイダーの真なる目的の一端に触れられたのも見逃せないポイントです。

hgdte





それでは各トピックに移りましょう。

 


「長生きするもんだねぇ」
プルンスやフワの正体に衝撃を受けつつも、ひかるたちを冬貴から匿った遼じい。
異星人の存在をあっさりと受け入れてしまう辺り、多少の驚きはあっても全く意外な行動ではなく、これまでもひかるの理解者として描かれてきた蓄積が活きています。
しかし、冬貴への応対を見ると会話では上手く躱しているのですが、額にはずっと汗が浮かんでいて……頻発する宇宙人騒ぎや政府が調査に乗り出している現状、事の重大性は認識しているようです。
それでも秘密を共有する決断と落ち込むひかるへ助言を贈るこの安定感。
思うがまま生きるため全力疾走する少女たち、その背中を常に見守る温かい大人たちがいる、プリキュアシリーズのツボを改めて感じる次第です。



さりげなくマッド
素体一人では難しいノットリガーの制御を、三人に増やすことで安定させようとするアイワーン。
カッパ―ド、テンジョウ、バケニャーンに担わせるつもりだったようですが、バケニャーンは口実をつけて辞退。アイワーンは自分で穴埋めすることをあっさり決めて、強力なノットリガーを召喚します。
相手の了承を得ずに実験台のようなことをさせるのもそうですが、自分の体を簡単に捧げられる躊躇いのなさには少々驚かされました。
短慮な幼さか、科学者の狂気か、アイワーンのパーソナリティが浮かび上がる瞬間です。
同時に自分が巻き添えになるのを上手い口実で回避してみせたバケニャーン。
人心操作テクニックもさることながら、カッパード・テンジョウ両名だとバランスが崩れるとの言(自分が劣るとは言っていない)から高い実力を秘めているのでは?と勘繰りたくなります。




「でも、放っておけないルン」
調査隊を攻撃するノットリガー。
プルンスは調査隊に知られることを恐れて制止しますがララが上記の台詞でチームをリード、プリキュアは出撃します。
サマーン星人のララが地球人を守るため率先して行動したのは10話分の積み重ねと成長を強く感じさせ、反対したプルンスも現場到着時には自ら進んで冬貴の救助にあたりました。
身近な地球人の反応は様々ですが、外部からやってきた彼らの姿勢の変化は見所です。




綺麗な想像と宇宙の現実
三幹部ノットリガーに苦しめられるプリキュア。前回と同じく絶望的な劣勢。
戦いの最中ノットレイダーが地球の乗っ取り(そのため無用な資源破壊を好んでいない)を目論んでいることが公言され、キュアスターは「住んでる人達のこと考えないの?」と真っ向対峙。
カッパードらは語ります。宇宙の最果てという過酷な環境で生きてきた自分達のことを何も分かっていない。想像力が欠如しているのだと。
人が自分の知らない物を想像する時楽しさや美しさといった正に属するやや願望含みが中心になってしまうことを揶揄しつつ、何故侵略する自分達の事情に想像の翼を働かせないのか?と鋭すぎる反論のナイフを投げつける容赦なき主張。
これまでフワやスターカラーペンといった"物"に対する執着の強さ、手段で覆い隠されていた「背景と真なる目的」の開示はセンセーショナルな響きを伴っています。
敵側の主張や事情に耳を傾けた上の選択が作品の思想を決定づける……というのがプリキュアの常ですが今作はどの道を歩むのでしょうか。



人を繋ぐサザンクロス
前話から継続したキーワード「南十字座・サザンクロス」、今回も印象的に用いられました。
遼じいはその歴史から「人々に進む力を、イマジネーションをくれる星座」と見立て、ひかると重ね合わせます。
そして、敵方から欠如を指摘されたキュアスターのイマジネーションこそが自分たちを新しい場所に連れて行ってくれたと感謝を伝えるミルキーたち。
前回宇宙では見られなかった南十字座ですが、かつて人々の道標となったその星と同じ輝きが星奈ひかるにはあるのだという重ね合わせが作品のテーゼであるイマジネーションらしさに溢れていてとても素晴らしい。
想像の先に必ずある"大好き"を叫ぶキュアスター、それぞれの想いを叫ぶスター☆トゥインクルプリキュアに新たなるアイテム『トゥインクルステッキ』が授けられ、新必殺技「プリキュア・サザンクロスショット」でノットリガーを破ります。




 逆転でピンチを退けた一行。しかし、覚悟していた通り冬貴に宇宙人と繋がっている事を疑われまたまたピンチに、となるも謎の人物(ひかるは知っている模様)が現れ、もう1話この流れで継続する模様。
それはそれ(ノットレイダーの攻撃)これはこれ(日本政府による治安維持)ということで、根源が違う問題を一緒くたには解決できない、アニメのご都合主義通じぬ写実的なドラマと言えましょう。
またプリキュア(というよりスターの)昂る思いに呼応していたノットレイダーの『あのお方』。
ダークネストという名前であることが判明しましたが、この関連性がどのように発展していくのかが気になるところです。



次回は、第12話「さよならララ!?映画監督は宇宙人☆」となります。



 絵的にはギャグテイストを想起させますが、あらすじを見るとかなりシビアなようです……。
宇宙人が映画監督をする作品ですと東映特撮のペットントン第35話「たのしいたのしい宇宙戦争」を思い出します。


 次回も乞う、ご期待!

【感想】スター☆トゥインクルプリキュア10話「キラッキラ☆惑星クマリンへようこそ!」

  現在、スター☆トゥインクルプリキュア放送直後の日曜朝9時に放送されている仮面ライダージオウではTVシリーズとスピンオフにてレジェンドライダーが出演活躍し、ネットニュース等でも話題になっていますが、4月14日放送の31話からなんと仮面ライダーアギト編に突入することが次回予告等で発表されました。
東映公式サイトあらすじへのリンク
 アギトは少年期にリアルタイムで見ており、また自分が尊敬する脚本家・井上敏樹氏の代表作でもありますので、平成ライダー中最も思い入れがあるライダーですのでこの朗報は嬉しいところ。
オリジナルキャストも津上翔一役・賀集利樹さん、風谷真魚役・秋山莉奈さん、尾室隆弘役・柴田明良さん、とかなりの充実ぶり。
尾室の登場でピンとこられた方もいらっしゃるでしょう。
あらすじではG3マイルドを擁する警察特殊部隊G3ユニットの登場が確定しており、それらと交戦するアナザーアギトの存在も語られています。
アギト最終回で投げかけられた「新人類・アギトの台頭が争いの引き金となる可能性」、その先を克明に描くかもしれない、と思うと興奮が抑えられません。






TVerの第10話配信ページです


 惑星冒険記になるかと思いきや、蓋を開けてみると新たな力を得たカッパードたちにプリキュアは完全敗北を喫し、大きな不安を残して次回へと続きます。
1クール目のラストを飾る前後編となる模様ですが、全体的にコミカルで親しみやすい雰囲気のスタプリにおいて、辛酸をなめる敗北感の表現に重点を置いていたのは意外で視聴後の余韻もいつもとは異なっていたように感じます。製作側が意図してのコントロールだとは思いますが、思い切りが良いと言わざるを得ません。

hthrfxt





それでは各トピックに移りましょう。



理由 建前 本音 責任
そもそもの発端は遼じいの好きな星座が南十字座・サザンクロスと知ったひかるがそれを見に行くため(描いたそれを遼じいへ見せたかったと思われる)ロケットの発進を強行させます。
プリンセススターカラーペンの捜索もするから、そのついでにサザンクロスを!!……とカラーペン探しの方はどう見ても建前ですし、冬貴らの調査の手が迫っていることを知るまどかが忠告しますが、ひかるの懇願を断り切れないのがチームの良い所(?)
押し切られ、ロケットは惑星クマリンへと向かいます(正確には宇宙空間ではサザンクロスは見えづらいと分かった直後に、ペン反応を感知しフワの不思議パワーでクマリンへワープ)。
ペンを手に入れ、ノットレイダーも撃退して、といつものような結末を辿れば、微笑ましい日常の光景で済んだのでしょう。しかし、ひかる主導で冒険が始まったこのプロローグ部分は、後に彼女が痛感するであろう責任の所在を明確化させるシークエンスでもあります(まだ詳しい胸中は語られていないため、恐らくですが)。
ひかるのイマジネーション中心の行動は軽率ではないか?
どこかでそれを問い質すエピソードがあるのではないか?と睨んでいましたが、10話でやってくるとは……良い意味で容赦がありませんね。




愉快な愉快な現地人
惑星の住人クマリン星人・クムといざ対面となるも、固まるひかる。
クマリン、からキュートなぬいぐるみのようなクマを想像していたのですが、イメージとはかけ離れた容姿。それもそのはずクマリン星人は地球での「クマムシ」つまり昆虫に近い外見なので似ても似つきません。
しかし、クムはとても気さくな人柄でひかるたちを歓迎、カラーペンの捜索にも協力的ととても好印象な宇宙人です。
プリキュアがノットレイダーに敗北撤退した際も彼女らの安否を気遣う素振りを見せており、何らかの形での再登場を切に望みたいところ。
余談ですが、実際のクマムシはかなり衝撃的なビジュアルをしており、これを子供向けアニメらしいデザインによくぞデフォルメすることが出来たなと感心したくなります(クマムシを画像検索される際は自己責任でお願いします)。



ノットレイダーの新しい力!!
失敗続きをガルオーガに責められるノットレイダー幹部たち。
その時、不思議なことが起こったーーガルオーガ曰く「あのお方のご意思」によって、幹部たち(バケニャーン以外)は新たな力を授かります。
惑星クマリンへの総出撃を命じられた彼らは飛躍的なパワーアップをプリキュアにまざまざと見せつけます。
自身の戦闘力が増したカッパ―ドは典型的パワーアップですが、テンジョウは配下のノットレイをプリキュアと互角以上に戦えるよう強化しています。彼らのパワーアップはもっとも秀でたスキルを引き上げる性質だったようです。
アイワーンは新たに見つけたカラーペンをダークペンへと変化させる際に能力を発揮したようですが、戦況有利と判断したバケニャーンの進言でノットリガー召還は見送られたため、実力は未知数。
戦闘に参加した幹部は勿論ですが、強化をされていないバケニャーンの読みの深さにも感心させられる一幕を作っているのが面白いですね。
ちなみにトピックタイトル元ネタはフレッシュプリキュア!のパワーアップ回サブタイトルの法則から引用。


「ぬくぬくとした環境で生きるお前が、知った風な口を!!」
惑星クマリンの重力は地球の2倍、気温の上下も激しく、途切れなく宝石が広がっているように見える景色もクマリン星人の容姿もこの過酷な環境に適応した結果です。
そのクマリンも戦闘の被害を受け、その大地が傷ついていきます。
怒るプリキュアとクムに畳みかけたカッパ―ドは惑星に「価値はない」と嘲笑。
キュアスターは怒りの拳と共に「星にはその星の良さがある」「厳しいからこそ綺麗なの!」と真っ向対峙。
その言葉を引き金に激情を迸らせるカッパードの台詞がこのトピックタイトル。
これにはテンジョウも「お子ちゃまには、分かんないわよね」と同調。
未だ見えてこないノットレイダー幹部のバックボーンを仄かに示唆しているように思える興味深いシーンでした。
また自分にはない他者の様式を肯定的に捉えようとするひかるの価値観、これまでは美徳として描かれてきた行動が一歩間違えれば上から目線で当事者のプライドを棄損する可能性があるというメッセージが込められているのではないかと思います。





敗北
新たなプリンセススターカラーペンのみならず、しし座カラーペンまで奪われるプリキュア。
取り返そうどころか、圧倒的攻勢に変身解除され為す術もなく、絶体絶命に陥ります。
特に膝をつくララ、えれな、まどかがテンジョウ・ノットレイに包囲される画は、屈辱的なビジュアルとなっており、徹底的な敗北を象徴しているように思えました
隙を突いたララの機転と死力を尽くすプルンスの活躍でなんとかクマリンから逃げ果せます。
逃げ果せるーープリキュアのレビューをしていてこのような表現をすることは滅多にないもので、敵が何らかの事情で見逃してくれたり、不思議なパワーが助けてくれたり、諦めない!!とキャパオーバーで少女たちが立ち上がる泥臭さは姿を見せず、「負け戦と判断したら即時撤退」というプリキュアによる合理的な戦略判断が見られました。
率先したララの大人の判断力による賜物であり、ドライな割り切りをしてでも生命の安全だけは守らなねばならないという「戦闘の恐怖」を強調しています。



危機は続く
なんとかロケットで地球へと帰還する失意のプリキュアですが、着地の瞬間を冬貴率いる調査隊に目撃されます。
実はロケット発進の場面から見られており、そのため行われたと思われる徹底的な調査、着陸したロケットはその網にまんまと飛び込んでしまったのです。
まどかの不安は的中していたわけですが、強化されたノットレイダーに加え新たな難題に直面することは間違いありません。
無邪気なサザンクロスへの想いが現状抱えている問題の全てを先鋭化させ呼び込んでしまう、あまりにも救いのない展開です。



 プリキュアの敗北を描く初の前後編であること、またひかるを精神的に追い詰めるであろうシークエンスやノットレイダー陣営の事情も垣間見えたりと重要回であることは間違いなく、この回から新たなストーリーの枝葉がいくつも伸びていくのではないかと思えます。



次回は、第11話「輝け☆サザンクロスの力!」 となります。

責任を痛感するひかる、ロケットに迫る宇宙開発特別調査局の捜査、攻勢を仕掛けてくるノットレイダー、押し寄せてくる数多の試練をひかるたちは乗り越えることが出来るのか?
そして、ひかるは……


1クール目のクライマックスを飾るであろうエピソードに注目が高まります。




次回も乞う、ご期待

【感想】スター☆トゥインクルプリキュア9話「友情のリング!スタードーナツ☆」


TVerの第9話配信ページです


 今回は香久矢まどかをメインに据えつつ「フワに変身能力を与えられた者たち」とは違う繋がりを得て、仲間という認識を強めていく物語。
前回は未開の惑星でファンタジーかと思えば学園生活中心の中で生き方を見つめ直す……新しいドラマと必要不可欠なドラマ両方で満遍なく楽しませてくれる今作のスタイルは信頼できます。

ghesytrr






では、各トピックを見ていきましょう。


「そんなに珍しい……ですか?」
ひょんな流れから自分は商店街に行ったことがないと語るまどかに驚く一同(ララやプルンス含めて)。
それを受けてのやや心許無い表情と反応ですが、令嬢として飾らず極力市井の人々へ寄り添おうとしてる、そうしてるつもりである自分がやはり他者から見ると常識外れ・世間知らずなのか?という不安の表れに思えますね。
まどかには会話をした相手の反応や顔色を窺うきらいがあり、自分に対し否定的なアクションをされることを恐れているように見えます(7話ロケット修理での恐る恐るの提案が好例)。



伝わらないキモチ
自宅に帰ったまどかは休日出勤する父親・冬貴と出くわします。
香久矢家の使命や迫る弓道大会、目撃情報が増加している未確認飛行物体等々で釘を刺され、まどかはプレッシャーを感じます。
父親がまどかの抱える諸問題を提議しドラマを推進させるという役割を持つシーンなのですが、よくよく聞いてみると最後に「未確認飛行物体等で世間が騒がしく危険なので、安全のために家の車で学校に通いなさい」との趣旨を語っていて、語意としてもそちらに重きを置いた発言だと言えます。
年頃の娘を気遣うのは父親としては珍しくない振る舞いなのですが、会話の切り出しが「香久矢家の一員として……」では伝わらない、その意味では彼の不器用さを表した場面とも言えましょう。



些細でも、許されない
以降、重圧を感じるまどかは凡ミスを連発します。
授業中に上の空、生徒会会議で居眠り、左右柄違いのソックスを履いて登校してしまったり……吐き間違えで顔を真っ赤にし、誤魔化そうとする姿は神の采配を確信出来るレベルで可愛いなと悶えてしまうのが視聴者心理。しかし、立て続けのあり得ないミスが強迫観念という形で彼女を追い詰めていきます。
実害なきミスは笑い飛ばせなどとは口の端にも上せられない、こなせて当然の完璧主義が垣間見えます……。


観察眼の説得力。ゆえに行動あるべし
過密スケジュールに追われるまどかを、ひかるが強引に連れ出し商店街での放課後遊びが始まります。
今までのプリキュア活動からの派生とは違う、純粋な遊び。
知らなかった遊びに興じるまどか、ダイジェストで描かれるそれを見れば彼女の表情が本来はとても豊かであることが分かります。
また、ちょっと前まで効率効率言ってたララが順応してたり、ドーナツを食べるのが楽しみ過ぎて涎をだらしなく垂らすプルンスも意外な見所だったりします。
この行動でまどかとえれなは、ひかるは考えなしに行動しているように見えて、実は人の事をよく観察していると評します。
当ブログでも同趣旨の意見は載せていましたが、劇中内でその評価を提示する意味は大きく、距離が縮まったことの証左でしょう。


違いの先に
ひかるだけでなくララ・えれなも凄いと羨望を語るまどか。
ここでまどかは、周囲と円滑にコミュニケーションを取れる明るいえれなと気持ちの余裕がない自分を比較・卑下するのですが、Aパート授業中に気が抜けていたことを正直に謝罪した自分とユーモラスを交えて返したえれなとの対比がその前兆であったようにも思われます。
しかし、かと言ってまどかが劣っているわけではないーー視聴者である我々が言うまでもなく、えれなはまどかの長所を列挙します。
友達として頼ってよ、と太陽とも見紛わんばかりの笑顔を振りまきます。


頼れる彼女が、射てる日
多くの難題を抱えたまどかは、心を乱し自宅での弓道稽古では的の中心を射ることが出来ませんでした。
しかし、アイワーンが姫ノ城桜子を素体に出現させたノットリガーとの戦いでは一糸乱れぬ正確な弓でソレイユたちを守り抜くばかりか、アイワーンからやぎ座のスターペンを奪い取ることに成功。
やぎ座セレーネアローでノットリガーを浄化し、勝利を収めます。
「頼って」が戦いの鍵になるのでは?それはコンビネーションなのでは?と思わせておいての予想外なポテンシャルの発揮。
中心を射抜けなかった弓道シーンの対比であると同時に、頼れる相手が出来た=友達という存在を自分の中に規定出来たために心の乱れを打ち消したと取れます。
守るものが多いことに苦心していたまどかですが、新たに増えたのが心を通わせる友達なのならそれは負担を増やすどころか新たな力の源泉として自分を支えてくれるという気づきを得たのでしょう。
一工夫加えられた成長と強さを発揮するシチュエーションが斬新です。


 軌跡を振り返れば彼女達が集まったきっかけはフワにあると言え、裏を返せばプリキュア変身者たちが個人と個人が密に触れ合う時間は少なく、特に一番最後の参入者となったまどかはひかるたちの為人に触れる時間が最も少なった一人です。
ですので「行動を共にするチーム」から「仲間」へ一段ステップアップするために今回のストーリーが必要であったと言えますし、秩序的なまどかのブレイクスルーと満面の笑みは爽やかな余韻をもたらしてくれます。
骨太のストーリーとキャラクターの愛らしさを満遍なく取り入れるプリキュアらしいキャラクター回、文句なしです!!




次回は第10話「キラッキラ☆惑星クマリンへようこそ!」



 惑星体験紀行第2弾となりそうですが、次に待ち受ける体験は彼女達に何をもたらすのか……

次回も乞う、ご期待!

 
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

ギャラリー
  • 【ミリしらサクラ大戦視聴記】OVA『轟華絢爛』4~6話 公式配信の順序が大団円的だったと思うワケ
  • 【ミリしらサクラ大戦視聴記】OVA『ル・ヌーヴォー・巴里』
  • 【ミリしらサクラ大戦視聴記】OVA『轟華絢爛』1~3話、そして致命的なネタバレを見てしまったお話
  • 【ミリしらサクラ大戦視聴記】OVA『エコール・ド・巴里』~CGと作画の融合があああ素晴らしい~
  • 【ミリしらサクラ大戦視聴記】OVA・桜華絢爛を二部構成で読み解く
  • リアル志向と不屈のヒロイズムが押し寄せる名特撮『ブルースワット』をおススメする4つの理由【Youtube配信記念】
  • リアル志向と不屈のヒロイズムが押し寄せる名特撮『ブルースワット』をおススメする4つの理由【Youtube配信記念】
  • 【感想】スター☆トゥインクルプリキュア最終話「宇宙に描こう!ワタシだけのイマジネーション☆」
プロフィール

ぱすくろ

  • ライブドアブログ