TVerの第21話配信ページです


 新たに誕生したキュアコスモとスター☆トゥインクルプリキュアの共闘、アイワーンを乗っ取る形で戦場に現れたノットレイダー首領ダークネストとの対決、と今回は節目の回でありながら次章への伏線が張られた重要エピソードとなりました。
各トピックを見て振り返ります。

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集大成の大混戦
 アイワーンノットリガーを操るダークネスト、スターとの激闘に興じるカッパード、士気を上げて向かってくるノットレイ……これらを迎え撃つキュアコスモを含めてスター☆トゥインクルプリキュア。
巨大な怪物、戦闘力の高い幹部、集団で攻めてくる戦闘員、とスタプリが突き詰めたバリエーション豊富な戦闘が全部乗せ。縦軸ターニングポイントである戦いをより盛り上げてくれます。
個人的にはミルキー、ソレイユ、セレーネが必殺技集中砲火を放つ場面がケレン味たっぷりで美味しかったです。




「今、目の前にいるあなたがどんなに苦しんでいるかは分かるよ!」
 2クール目の節目と言ってもいい本エピソードはブルーキャット登場から提示された要素が一気に回収されましたが、1クール目の節目となった10・11話前後編のアンサーエピソードとして見ることが出来ます。
プリキュア、ノットレイダー、バケニャーン(ブルーキャット)間を行き来していた因縁のおひつじ座カラーペンの回収、かつて自分の想像力の欠如を指摘したアイワーンの痛みを察し救おうと決意するキュアスターどちらも感慨深く、視野が広く柔軟になったひかるの成長がよく分かるシーンでした。
 プリキュアにおいて敵幹部ですら救済の対象とするのは珍しい事ではありませんが「想像」をその理由に掲げるのは脚本の妙技と言えるでしょう。



バケニャーンとはなんだったのか?
 キュアスターの強い決心に促され、ブルーキャットも仇敵アイワーンを救おうとします。
しかしただスターに感化されただけでなく
・元々アイワーンはダークペンで対象の人格を乗っ取ることまでは想定していなかった。
・なのでアイワーンがダークネストによって思考を停止させられることを望んでいるわけがない
とバケニャーンとして側に仕えていた時代の視座から結論に辿り着き、行動に至っています。
バケニャーンはブルーキャットが潜入する為の仮初の姿でありそれがアイワーンに大きな動揺を与えはしましたが、その潜入体験がアイワーンへの理解と救済を促したことは間違いなく。救いの描写であったように思います。尤も当のアイワーンに意識は無かったため、ブルーキャットの心情を窺い知る術はなかったのですが……。各人なりの行動の理由がしっかりと描き分けされているのがとても丁寧だと好感を感じます。
 浄化されたアイワーンはブルーキャットの宇宙船を奪って撤退しましたがノットレイダーのアジトへは帰還していなかった模様。ブルーキャットとの関係も含めどのような立場を得ていくのか、見守るのが楽しみですね。



蛇がもたらす思考停止(ちょっと深読みしてみた)
 思考の停止と称してアイワーンノットリガーを意のままに操り、初めてプリキュアと対峙したのがノットレイダーを統べるダークネスト。
部分的に復活を果たしついにその姿をアジトで表すのですが、注目すべきはその姿が蛇あるいはコブラを思わせること。
それまでのノットレイダー幹部のモチーフが日本古来の妖怪であったことから考えれば、ヤマタノオロチあるいはツチノコを連想させますが、蛇とつながりのある伝説上・神話上の生物は西洋にも数多く言い伝えられ、地方・宗派によっては神あるいは悪魔の象徴・化身とされ、永遠などを意味する図案ウロボロスにもその姿が描かれている、など蛇というモチーフ自体が幅広くシンボリックな要素を秘めていることがよく分かります。
 そして、個人的に出典元として一番可能性があるんじゃないかな?と思ったのは旧約聖書の『創世記』にて最初の人間アダムとイヴに知恵の樹の実を食べるよう唆した"蛇"です。
アダムとイヴが禁じられた果実(知恵の樹の実)を食べたことを知った神は二人を楽園から追放、またアダムを祖先とする人間はこの出来事から「死」を免れない存在となり、生まれながらにして罪を背負う物となった……というのがキリスト教的考え方になるわけですが、知恵の樹の実が人間にもたらした
知識が「想像力」に言い換えられるとは思いませんか?
 蛇の正体は悪魔サタンであるとも言われていますが、唆した彼もこの後神の呪いを受け地を這いずる(足を失う)こととなります。
人間に想像力を与えた存在であり与えた罪によって罰せられた蛇……ダークネストがイマジネーションを愚かだと敵視するのもこの辺りがネタ元なのかもしれませんし、思考停止を盛んに訴えるのも楽園追放から始まった原罪をベースに考えれば説得力があるような……。
 時期尚早の深読みだという自覚はありますが、メインライターの村山功氏がかつて『魔法つかいプリキュア!』にて北欧神話を元にしたと思われる世界観設定や古の神々との闘いといった神話性に出自を求めるストーリーを展開していたことからそんなに荒唐無稽な読みでもないのかなと思っていたりも……でもシンプルに「へびつかい座」がモチーフなのかもしれませんねぇ……。



 ひかるたちのロケットに同乗するブルーキャットは本名が『ユニ』であることを明かします。
「ユニの方が効率的ルン!」(ララ)
ブログを書いてる側としても名前の短いユニの方が効率的で助かるなぁとしみじみ思いましたね……(ララたちの用法はユニの気恥ずかしさに対するフォローだと思われますが)。
プルンスが食べさせたかったドーナツがようやくユニの口に運ばれたことで、宇宙怪盗との対決が主だった2クール目の物語に決着が着いたようにも感じられます。
 各編・クール毎での起承転結がきっちりつけられている構成は実に見事ですね。




  次回は第22話「おかえり、お父さん!星奈家の七夕☆」となります。


 物語当初はその不在から重い真実が隠されているのでは?と視聴者側が心配したこともあり、製作側インタビューにより存在が明言され、漫画アシスト回でもひかるによって語られていた父親がついに登場とのこと。
イマジネーション旺盛な娘そしてそれを快く思っていないであろう祖父との関係性に触れられるのではないか?と期待できますね。

次回も乞う、ご期待!