TVerの第18話配信ページです


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 漫画家であるひかるの母親・輝美の月刊漫画雑誌作品掲載が決まります。
結果を出せれば、初の連載デビューもあり得る……母親に訪れた大チャンス、ひかるは友達と共に応援を試みるのですが……
漫画を主題にした話筋のためかアバンパートや漫画製作に関する説明ではデフォルメされた演出が目立つ一方、輝美やひかるが直面する(かつてしていた)同調圧力という問題提起はこれまで描かれてきたテーマに即しつつも、新しい切り口があったように思えます。
それでは、各トピックへ……





売れ線と得意ジャンルと
 掲載が決まったとのことで雑誌社から輝美の下へ派遣された編集者・追川夢男は輝美の得意ジャンルSFやファンタジーよりも、掲載誌の人気ジャンル、イケメン・恋愛・医療物にすべしと譲らず。
いい加減売れるものを描いてくれ、との言葉に押された輝美は指示通りに描き切ります。ひかるらの応援を受け、睡眠時間を削って、力の限り……しかし、追川の上司による酷評を耳にしてげんなり、そのままテンジョウによってノットレイ化されるという下降し続けるだけのジェットコースター。
憐憫ばかりを感じる展開ですが、自分の表現したいことがトレンド・売れ線との合致を気にかける、自分を抑え込んででも受けに寄せてしまう心理は痛いほど分かる気がします。
しかし、この流れなら担当編集・追川がノットレイ化するのでは?と思いきや、彼の登場は売れ線をごり押しする前半と唐突に輝美の味方へ様変わりする終盤に限られ、掘り下げが中途半端になった印象が否めませんね……ただ彼の立場になって考えれば間違ってたことばかり言っていたとも思えないので(デビューしてから好きな事をすればよいという方法論もある)その辺の葛藤が製作側にもあったのかもしれませんね。
またテンジョウ部隊によるノットレイ化の恐怖は、ゲストキャラに施されるよりも近親者にされる方が恐怖感が増すという一面があるように思いますから(被害者はとうま、輝美と現状プリキュア家族のみ)そういった計算もあるのかなと。




「好きなものが他人(人)と違ったっていいじゃない」
 母親の連載デビューを応援したいひかる。
その想いの根源は?という形で母から贈られたお手製の漫画、近所の男の子から偏見を受けていたこと(場面の切り取りなので恒常的だったかは不明)、母親の言葉に救われた過去が明らかになりました。
幼稚な趣味という偏見=得意ジャンルを捨てろ、と母子は同調圧力を受けていたという形で繋がるのですが、自分の好きを決して捨てなくていいという思いやりの循環も表しています。
ひかるが登場当初から持ち合わせていた未知への好奇心と想像力は遼じいから、自分と他者の好きというテリトリーを絶対に譲らない強さは母親からそれぞれ受け取ってここまで育ったんですねぇ(世界中を回っていると今回明かされた父親も関わっているのでしょうが)。
物語中で克服していく、ではなく、何故既に温かい寛容さがあるのか?を遡って描くのもなかなか珍しい気がしますね。前作ハグプリの野々はなの過去と似ているような気もしますが、あれは「変わる理由」ではあったけど「救われる理由」とは少し違うかなと。
優しさの理由が描かれたことで、な~んか不思議な子から感情移入しやすくなったひかる。2クールの節目が迫る中、ここでスポットライトが当たったことがどう活きていくか楽しみですね。




「誰になんて言われても、好きなものは好き!」
 と上記のこともあり、本来自分が描きたくない題材で描いている母親を心配するようなひかるの表情がチラホラ。しかし、直接的な言葉例えばSFやファンタジーを描いたら?のようなアドバイスは送らず、お母さんの描いたファンタジーの漫画が大好き・ありがとう!と言っています。
それに気づかされた輝美が自分の好きなものを描く決心を固める……という形で親子が愛綴られるのですがこれと同じように言わないけど表情には出してる、のが祖父の春吉。
いつもニコニコで温厚な祖母・陽子と並べば、 恐らくですけどあまり漫画家という職業を快く思っていないのでは?と思ってしまいます(ひかるの宇宙オカルト趣味と同じように)。
しかし、明確な否定のシグナルは送らず、記念パーティーにも同席しています。
ひかると春吉、積極消極の違いはありつつも道の歩み方は輝美のそれを尊重し、家族としての応援する姿勢を見せており、星奈家は程よい距離感で住みやすく生きている風通しの良い一家なのだと思いました。





 世界から全面的承認を得られなくても自分のポリシーは貫きたい……一昨年のキラキラプリキュア☆アラモードっぽい味わいを感じさせるお話でありながらも、自分とは違うあり方を許容していくスタプリの多様性が打ちだされたエピソードでした。
前々回の弓道大会のように漫画製作におけるキーワードを都度解説し、分かりやすい物語を心掛けていた点も評価すべきでしょう。


次回は、第19話「 虹の星へ☆ブルーキャットのヒミツ!」となります。


 作品の縦筋となりつつあるブルーキャット編の物語。
石化現象によって滅亡した惑星でプリキュアたちは何を見るのか……


 次回も乞う、ご期待!