記事投稿から数日後には平成が終わる、とあって忙しいやら楽しみやらで騒がしい世間。
当ブログは何処吹く風と言った体で通常更新でありますが、令和になったらもっと活動ペースを上げたい、より多くの方々に閲覧してもらうためには……とそれなりに欲を秘めていたりします。
ですが、とにかく毎週定期の更新を絶やさないようにとのささやかな目標で頑張り続けたいと思います。


 さて、本日取り上げるスタプリ13話も平成最後の放送回。


TVerの第13話配信ページです


晴れて「羽衣ララ」との名前を得たララは学校に通ってみたい、と希望するのだが……で始まった13話。
話数的には1クールの締めとなるわけですが、実際の内容もひかるがララ達と出会い始まった序章の物語に一段落つけるストーリーになっており、気持ち良い余韻に浸れる平成最後の放送になったと思います。

@ok



では、各トピックに移りましょう。





変わってる
アブラハム監督が入学手続きを済ませていたこともあり、スムーズに始まったララの学校生活。
ひかると同じクラスに転入となりましたが、外国から転校してきた(という設定)、転向早々学校の有名人えれな・まどかと既知の仲らしいとの物珍しさ、オヨやルンといった変わった語尾で注目を浴びる……だけでなく、そもそもサマーン星人の常識にない学校生活に悪戦苦闘。
掃除に失敗したララはクラスメート・軽部タツノリ(あだなはカルノリ)に「ララルンってマジ変わってるな」と言われ、ショックのあまり教室を飛び出しそのままロケットへ帰宅してしまいます(ひかるがララの鞄を届けている描写あり)。




「おはようルン……ございます」
AIとリンクしたグローブを外す学校初日を過ごしたララですが、翌日からは再び装着。
AIが助言する最適解に沿って、学業への活用だけでなく学生としての所作や語尾のオヨ・ルンを逐次矯正する姿はよく言えば馴染む努力ではありますが、個性を殺す瞬間を目撃しているようでとても痛々しい印象を受けます。
敬語文化を持たないからこそ年上のえれな・まどかにもフレンドリーに接していた彼女が「先輩」呼びで恭しくしているのも違和感……古くは「郷にいては郷に従え」と言ったものですが、誰が望んでいるのかその所在が分からぬままに『標準化』を求める現代社会への痛烈な風刺が込められた場面のように感じます。


波及を考える思考
グローブ着用で難なく2日目の学校生活を送ったララ。
違和感を感じたひかるは「(AI無しで)別に失敗したっていいじゃん!」とのエールを送りますが不発(ケンカ腰と思われかねない突発的な言動もある種ひかるらしさかなと思ったり)。
ララは自分がおかしいと自分と近しいひかる、えれな、まどかまでも変な目で見られてしまうから失敗は出来ないと胸の内を明かし、状況の継続を笑顔で宣言します。
ララの友達想いが強調されるシーンであると同時に、世間が交友関係という繋がりにどのような目を向けるのかといった部分を理解し気遣うといったアクションを取れるのは成人として扱われている者の洞察力を反映しているように思えます。



「楽しそうだったルン……私もみんなと楽しくなりたかったルン」
それでも、いや笑顔で無理をしているからこそやっぱりララを放っておけないひかるはチーム全員で休日登校。
改めてひかるに問い質されたララは、異星人・サマーン星人として地球の文明を調査するのはある種建前で、自分の欲求があったという本音を吐露、そしてひかる達と共に学校で「新しい体験を心待ちにする楽しさ」に気づいていきます。
自分の知らない世界を知りたい、そんな知的好奇心と密にリンクした感情が出力されており、イマジネーションをテーマとするスタプリらしい仕上がりになっていると感嘆するばかりであります。



テンプレートを避け続けるアクション
学校にて襲撃をかけてくるカッパード。
日曜日だと忘れて登校してくるタツノリをその視線が捉えた瞬間「ダークネストの力でカッパ―ドもノットリガー召喚能力を得たのかな?」とテンプレート化の予想をするも、タツノリのイマジネーションを取り込むことでカッパードの武装が変化・強化される(今回はサーフボードタイプでした)という斜め上の結果を映し出しました。
幹部の戦闘スキルに関しては、頑として譲らず独自路線を貫き続けるスタプリの意地をそこに見たような気がします。
作品の大きな持ち味として終盤まで頑張って欲しいと切に願うばかりです。





その名は、ルンちゃん
ノリで口を滑らせたことを反省していたカルノリは救出後にララの語尾が気に入っていると釈明、
更に翌日は女子クラスメート2名も自らララに話しかけ「ルンちゃん」とあだ名を命名。
曰く「ルン」の語尾が可愛いからだとか。
スタプリチームのキズナで掴み得た名前「羽衣ララ」のように、新しい名前が増えたことはララが属するコミュニティが増えたことを意味しています。
また新世界へと入っていく側のブレイクスルー、だけではなく、新世界の普遍的な人々が特別な過程を経るわけでもなく自然と理解・尊重し受け入れたというゴールは、現実がこのような寛容な社会であってほしいという製作側からの願いがひしひしと伝わってきます。



 ララの転校エピソードはコメディ全開!!ではなく、萎縮をもたらしやがては個性の抹殺へと到りかねない『異端児扱い』をどのように考えるか?
宇宙人だけでなく、現実社会の至る所で出会ってしまう場面への問題提起であり、多様性を追求するキラプリならではの方向性だったと言えるでしょう。
また、ララはAIが正しいと判断した情報を疑いなく享受し標準的地球人を演じようとしましたが、最終的に変わらぬ自分のままで未知なる学校生活を楽しむと決断しました。
フィルターの掛け方しだいで人間にとっての情報価値を大きく左右する鮮度が揺らいでいく……情報化社会の流れに良くも悪くも歯止めを掛けられない現実に対する投げかけもそこに込められているような気がします……。




次回は第14話 笑顔 de パーティ!家族のソンリッサ☆」となります。


えれなとその家族に触れられると予想されますが、個人的には現状弱点らしい弱点がないえれなのパーソナルな部分をどのように掘り下げていくのかが注目ポイントです。

次回も乞う、ご期待!