TVerの第8話配信ページです


 てんびん座のスターカラーペンを求めるひかるたちが降り立った惑星は骨のような形をしたケンネル星。
そこで犬のようなケンネル星人ドギー、マギー、ネギーの三人と出会った彼女達ですが……

 初の惑星冒険となった今回は、心躍る楽しさだけでなく、文化や価値観の違いから生じた誤解にまで発展するというSF的アプローチも散見された実に意欲的な回でした。
異星人とのコンタクトとの中でえれなやプルンスといったレギュラーキャラのスタンスや個性もフォーカスされており、個人的にここまでの回の中ではスタプリの作品性が最も魅力的に活かせたストーリーだったのではないかと思います。
出来る限りの言葉を尽くして、その魅力を紹介できれば……と思います。


fsad



ケンネル星人
未知の惑星の住人は、毛むくじゃらの犬を思わせる生物たちです(そのせいか、ひかるもムツ○ロウさんばりのスキンシップに……)。
ケンネル星は骨が雨のように降り注ぐ星であるため、それに適応するため毛に特化した生物へ進化したものと推測されます。
そのため、毛並みが整っていることがステータスのようです。
他にも挨拶の方式や数の数え方が違う等々、登場間もなくして地球人とは文化・生態が異なることが分かりやすく描かれており、真正面からSFをやってみようとする製作側の意気込みが窺えます。





好奇心と親密感
ケンネル星人との交流で目立っていたひかるとえれな。
その接し方が対照的です。
ケンネル星人のアクロバティックな挨拶や特製の育毛剤を躊躇なく実践してみようとみせたひかるからは即座に吸収、学んでみせようとする好奇心の強さが見られる一方、
地球式の挨拶「握手」を以て早々に打ち解けていくえれなは持ち前のフレンドリーさを活かしたように思えます。
何を以て理解とするのか、どんな手段を用いるのかという違い、これこそが個性の違いではないかと感じます。



ともすれば侵略者
探すてんびん座スターカラーペンがケンネル星人の「ご先祖様の像」に突き刺さる”聖なる骨”であることが判明、スタプリチームとドギーたちとの間に緊張が走ります。
ケンネル星人の信仰対象であるため、引き渡しを断固拒否するドギーたちですが、プルンスは宇宙の平和という大義名分を持ち出して強硬な態度を見せます。
これに不信感を募らせたドギーは、ペンを狙い襲撃してきたカッパードとプリキュアたちを「全く一緒だ!(略奪者だ)」と糾弾します。
耳の痛い展開となりましたが、結果を急ぐあまり手段を省みなかったことと、価値観が違う相手へのコミュニケーション不足が招いたしっぺ返しです。
たとえ善なる行いをしていたとしても全てが結果オーライでは済まされない、全てを正当化する免罪符足り得ない……ヒーローの側の傲慢さを戒める教訓的なテーマとなりました。



選別なき笑顔の価値
友達になったばかりのドギーたちと強硬なプルンスとの間で板挟みになるえれな。
プルンスの使命感を理解している彼女ですが、ペンを無理やり奪うことは断固拒否します。
元々彼女のモットーは他者の笑顔を守ること。
それは舞台が異星に移り、自身がヒーロー・プリキュアであったとしても堅持したい信条、それどころか彼女がプリキュアになった理由そのものでもあるのでそれを放棄は出来ません。
「物の大切さ、価値観は人それぞれだよ」
宇宙平和を唱えるプルンスへの反論、ケンネル星人たち擁護の言葉であると同時に、自分の貫きたい信念をも指した言葉のように聞こえます。
この後ドギーに侵略者扱いされますが、それでもカッパードへ果敢に挑むソレイユ。
筋を通す、その潔さこそが彼女の魅力なのでしょう。



決死の防御
プリキュアたちに諭されたことで自身の身勝手な行いを反省するプルンス。
ドギーたちに土下座で詫び、更には毛生え薬を被り戦闘に割って入る漢気を見せ大活躍します。
毛生え薬の効能で防御力が格段に向上したためカッパードの必殺技を防ぎ切りましたが、保証なき行動です、それはつまり命がけです。
またプルンスはツルツル(プルプル?)の体を気に入っているため、体毛を不快に感じていることが度々描写されていました。
二重の意味で体を張り、自らの身勝手さの責任を清算したプルンス。
えれなと並んで今回のMVPと言っていい大活躍を見せてくれました。




 プリキュア側の姿勢を痛烈に批判しつつも、最後は明るい気持ちで観終れる完成度の高いエピソードでしたね。
また前半ケンネル式挨拶を試みるひかるに「チャレンジャーでプルンスな~」と渋い声でツッコむプルンスは、テンションのコントラストを操る吉野裕行さんのテクニックが垣間見れる隠れた見所となっていますので、是非とも見返してみてください(ギャグシーンでの吉野さんの跳ね方を見ていると、アニメ版SKET DANCEのボッスンを思い出しますねぇ)。



次回は第9話「友情のリング!スタードーナツ☆」 となります。




予告を見る限り、自身に「完璧」を求めるがあまり追い詰められているように見受けられますが、ひかるとのコミュニケーションで何かが動きそうな予感がします。セレーネへの変身や仲間入りは主にフワとの繋がりからの発展ですから、ひかるとまどかという関係性は新鮮なんですよ。楽しみです。



次回も乞う、ご期待!