いよいよ放送されたプリキュアシリーズ第16作スター☆トゥインクルプリキュア
プリキュアシリーズは何度かレビュー記事を投稿してきましたが、今年は放送後、1話毎の形式でコンスタントに投稿します。
 1年間お付き合いいただければ幸いでございます。
 また今作から見逃し配信が始まりました。
(配信サイトTverへのリンク)
まだ本編を見ていない方は是非ご視聴頂ければと思います。


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 1話は、主人公・星奈ひかると妖精フワとのファーストコンタクトから始まり(序盤)
更には宇宙人の少女ララ、妖精プルンスと出会い(中盤)
彼らを襲撃するノットレイダー幹部カッパードをキュアスターへと変身したひかるが撃退する(終盤)という流れ。



 構成自体はとてもシンプルですが、各所に星座と宇宙に始まるSF的要素が散りばめられ、ポジティブで想像力豊かな女の子ひかるのキャラを全面的に押し出した、物語の始まりに相応しい回となっています。
また個人的には、家族との関係性(母・祖母と違いやや厳格に見える祖父)や天文台の管理人空見遼太郎(通称・遼じい)との関わりといったひかるの生活環境や豊かな自然の情景下で描かれるフワとの交流が主なAパートはゆったりとした流れで、
ララ達との遭遇、カッパードとの攻防が描かれるBパートは風を切るような疾走感で…と言った具合に前半と後半とでは体感速度が異なる展開をしており、飽きない構成だと感じました。


 当初は宇宙人プリキュアやそれらと関わりの強いキャラが出てくることを以て宇宙モチーフであることを謳っているのでは?と見ていたのですが、細部にこだわる宇宙戦闘が1話から繰り広げられたことで甘い予見であったと痛感します。
 フワを救うため自らも宇宙空間へ飛び出すひかるの決死の勇気に圧倒されますし、脚部に仕込んだバーニアで宇宙空間を移動する敵戦闘員ノットレイに対し、キュアスターは自ら足場を作りAMBACを駆使する……と宇宙という舞台だから出来る演出を1話から惜しみなく見せつけてきます。
こういった挑戦や表現が今後も続いていくなら、とても楽しめる1年になるだろうと思います。


 また前述したように今回は、ひかるの豊かな想像力が惜しげもなく強調されており、それを最も証左するのがスムーズなストーリー展開です。
フワ、ララ、プルンス、と言った地球外生命体との接触という未知なる体験を経ても、それらに質問攻めのような問題提起を行わない、怯えるなどの否定的アクションではなく積極的にコンタクトを求める姿勢、1話全体を見ると彼女が屈託を見せる姿はほとんど見られず、目の前の事象や存在を受け入れる順応性の高さが窺えます。
「恐怖が思考を停止させる」とはカッパードの台詞ですが、ノットレイダーが今作の志向するイマジネーションに敵対する思想を持つことが見て取れます。
そして、自身の想像力に引けを取らない行動を取れるひかるの能動は、これに当てはまらないのだということも表現されています。
 楽しかった夢を夢のままで捨ておけないからフワを捜索し、放っておけないからロケットに乗り込み、宇宙空間に身を投げ出し、フワを物扱いするカッパードに怒るーーそういった感情の導線が理解しやすく、肯定的に描かれていることがよく分かります。
キュアスターの宇宙戦闘経験が不足していることは明白ですが、その差を覆し敵を撃退出来たのはプリキュアの戦闘力の恩恵もあるのでしょうけど、ひかるの順応力・自由な発想が出来る思考力が未体験の宇宙において大いに発揮されたからではないか?と勝手に想像します。



 枠に囚われないひかるを見ていると、体と体が自由になって息苦しさから解放されるような、心がスイスイと泳ぐような、そういった心地よさを感じる気がします。2話以降ララを始めとした他の少女達と組み合わさることでどのように物語を紡ぐことになるのか……見守っていきたいと思います。




……とここからは余談なのですが、1話はコミカルな展開が随所に見られ実はギャグ性の強いプリキュアなのか?と感じています。この所感に大きく影響を与えているのが吉野裕行さん演じるプルンスの全力のツッコミ。絶妙の呼吸と間で笑いを誘う、そんな魅力溢れる演技をされているなぁと。
 そして、ひかるらを乗せたまま制御を失い、山に不時着・"爆発"したロケット。1話内ではフォローされず、そのまま妙な中毒性を発するEDへと突入しましたが、ひかるの台詞を借りるならこれこそ”キラやば!”ではないかと心配してしまいます……。
2話の始まり方でこの作品のコミカルはどんな方向を向いているか、それが見えてくることでしょう。





次回は第2話「宇宙からのオトモダチ☆キュアミルキー誕生!」
フワによって日本語を話せるようになったララのより深いパーソナルな部分の開示を楽しみにしています。




次回も乞う、ご期待!