彼と彼女が握ったもの

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特撮やプリキュアの考察感想記事(ネタバレあり)をゆる~く投稿するしながらも時には熱く語っていきたい…そんな風に運営出来たらなと思います。 あとコメントはお気軽にどうぞ!!

ウルトラマンガイア 第6話「あざ笑う眼」【考察・感想】

ウルトラマンガイア 第6話「あざ笑う眼」(1998年10月10日放送)

奇獣 ガンQ   登場


監督    北浦嗣巳
脚本    原田昌樹
特技監督 川上英幸





未知への畏怖【天才の葛藤】


奇獣ガンQ
今回は後のウルトラシリーズ作品で度々登場するインパクト大のこの怪獣との攻防が描かれます。


チーム・ライトニングとファルコンの合同演習中、突如山に現れた巨大な目玉。

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我夢は分析を行いますが、進めれば進める程『存在している理由が分からない』という結果しか得られません。

正体を掴もうと必死に思考する中でプレッシャーを感じる我夢の脳内は自分を嘲笑う者として過去のいじめっ子、そして藤宮の姿を浮かべてしまいます。


「あの眼を攻撃してください!!」(我夢)



耐え切れなくなった我夢は早計に攻撃を進言してしまいます。

案を了承した梶尾・米田両リーダーが攻撃を開始しますが、ミサイル攻撃は巨大な眼によって吸収、吸い込まれた2本の内1本が撃ち返され、米田機は撃墜、眼は姿を消します。




幸いなことに米田リーダーは脱出に成功しますが、着地の失敗で足を負傷してしまいます。



敦子に責められる形で我夢は「分からなかった、怖かった」と心境を吐露します。


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我夢はこれまでの戦いで敵を解析出来ない事態を経験しておらず、今回の事態はイレギュラーなものだったと言えます。
焦りそして天才の自負が揺るがされる中で、冷静な判断を下せず仲間に損害を与えてしまう。

ウルトラマンとしてではなく、天才にとって初めての難敵であり、初めての敗北です。



大きなショックを受けた我夢はエリアルベースを降りてしまいます。

ですが責め立てた敦子も含めて、我夢は帰ってくると信じます。



助言から生まれた勝機


その後我夢は再起しガンQと対峙することになりますが、その原動力となったのがで『仲間たちからの助言』というのが本エピソードの大きな見所となっています。


「怯える者にここにいる資格はない」(梶尾)
「我々にミサイルを撃ち込ませてどうするつもりだったんでしょう…」(米田)
「お化けや幽霊が本当に存在したとして、その存在は物理学的生物学的には分かんないけど、
その存在理由とか行動目的は理解できる」(マコト)

(時系列順)


一つ一つ細かく見ていきましょう。

1番目の梶尾さんの発言は一番最後に回して、
2番目の米田リーダーと三番目の学友マコトの台詞が「発想の切り替え」を我夢に喚起します。


敵は何故現れて、何故地球や人類を攻撃するのか?


ガイアの根源的破滅招来体、あるいはウルトラシリーズの怪獣、もっと広めるとスーパー戦隊シリーズや仮面ライダーの怪人、ゴジラ・ガメラなどの怪獣映画、作品のテイストによってに差異はあるものの、ヒーローと呼ばれる者やその支援をする人々(警察機関含む)は必ずと言っていいほどこの問いに直面します。

敵という存在を考えることは戦う上で最も重要な要素の一つなのは確かでしょう。
しかし、目前に敵が迫るという非常事態の中にあってはそれを切り分けて柔軟に対処すべきだろう…今回のお話にはそんな防衛隊の現実的思考が感じられます。

先の言葉を切り分けるとこういう分類になると思います。


「敵は何故現れて」(敵の存在理由)
「何故地球や人類を攻撃するのか?」(敵の行動目的)


米田リーダーやサトウの言っていたことは後者の「敵の行動目的」を計るという視点に繋がります。
我夢の判断ミスは前者の「敵の存在理由」に固執するあまり、次のステップ「行動目的」を計るに移行できず起きた失敗と見ることが出来ます。

ここには隊員としての経験不足の要因もあるかと思われます。
米田リーダーが敵の行動に不審を感じたのは現場で培われた経験から来ているものと見ることができますし、
ここで梶尾リーダーの発言も生きてきます。

我夢に対してキツイことを言ったように思えますが、怯えるだけでは視野が狭くなるから隊員として自信を持ち『倒すこと・守ること』のために最善を考えろ。


そんな励ましの思いが込められていたのではないか?と推察します。


敵の行動目的に着目することに気が付いた我夢は『吸収されたもう一発のミサイル』の反応でガンQの位置を把握、
コンビナートを襲撃しようとする敵の先手を取ることに成功します。

数々の金属片や岩石を吸収し、自立、ただの巨大な眼から怪獣へと変化したガンQ。

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チームライトニングが苦戦する姿を見て、我夢は自分をあざ笑った『眼』にガイアとして立ち向かいます。


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「もう怖くない…お前を恐れる理由など何もない」(我夢)


ガイアは吸収光線によってガンQの中に取り込まれ、無数の眼から嘲笑われる精神攻撃を受けます。
ですが、精神的成長を果たしたガイア・我夢は自ら目玉に突撃し、ガンQを爆散させます。



我夢がガンQの攻撃に気づかなかった場合、被害は相当なものになっていただろうと堤チーフと石室コマンダーは話します。
二人とも我夢の働きに満足のようです。

「当然だ、あいつは……XIGの一員なんだからな」(石室)

不自然な間はコマンダーが何かを察しているのでは?と憶測してしまいます(笑)




その日の夜、エリアルベースの食堂にて我夢は自ら梶尾リーダーに相席を求めます。
側を通りがかったチーム・ファルコンに褒められ、梶尾リーダーとも和気藹々としたやり取りを繰り広げる我夢。

『我が物顔でやって来た天才』から『仲間』として認められた…今回の戦いはそのための通過儀礼だったのかもしれません。




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「勘違いするな。俺はお前の心配をするほど暇じゃない」(梶尾)
「そうですよね」(我夢)
「ヘラヘラすんな!」(梶尾)


一気に丸くなりすぎな梶尾リーダーと満更でもない我夢が面白くてしょうがないです。

何気にこの食事中、エリアルベース周囲ではまだ未登場の『チームクロウ』が演習を行っていました。
そのあまりにもアクロバティックな機動に仰天する我夢。ですが梶尾リーダーは当然という顔です。


「あれくらいで驚いてたらしょうがないぞ。お前も来週から訓練出ろ」(梶尾)


一気に距離感が縮んで仲良しになりましたとさ。



総括


今回は天才ゆえに乗り越えねばならなかった『未知への恐怖』
それでも敵を阻止しなければならない『現場の不屈精神』の二本立てで物語が進行しました。


前者は天才だったからこそ他人の知恵を借りてこなかった我夢が「他人から得た知見で機転を利かせる」で克服しまし。
それまで解析に置いて失敗知らずで何でもできた天才の我夢に人間味を与える効果も多分にあったのかなと思いますし、スカイチームの人々とも強固な絆を得ることが出来ました。


後者の視点、『敵の正体解明』『行動の目算を着けて阻止すること』の違いは当たり前ではあるけどあまり意識したことのない話だったなと目から鱗が落ちる気持ちになりました。
それも単純に知恵が回るから気づくという事ではなく、自分達が人類最後の砦という自覚がなければ辿り付かない論ではないでしょうか?

少し話を広げると、仮面ライダークウガやアギトで描かれた警察組織の人々もこのように状況整理をしつつ、
人間を襲うグロンギやアンノウンと対峙していたように思いますし、
現場で怪人と戦いながらも別ラインで謎の解明が進むという作風が4クール大河ドラマとしての圧倒的なカタルシスを生む土壌にもなっていたのではないでしょうか?



さて、次回は第7話『地球の洗濯』となります。
所謂自然コントロールマシーンシリーズの序章となる回で、アルケミースターズという存在に別角度から焦点が当たる重要回です。


次回も乞う、ご期待!!

ウルトラマンガイア 第5話「もう一人の巨人」【感想・考察】

ウルトラマンガイア 第5話「もう一人の巨人」(1998年10月3日放送)

大海魔 ボグラグ  登場


監督   原田昌樹
脚本   小中千昭
特技監督 北浦嗣巳



天才の帰郷


今回は我夢がコマンダーに実家のある千葉へ帰省し、両親へXIGに入隊したことを報告するようにと命令を受ける所から物語が動きます。
(この直前で描かれた我夢とジョジーの口止めアイスも意外な見所)


自身も子供のいる父親だからこそのコマンダーの気遣いが見て取れます。ですが我夢はあまり乗り気では無く、渋々了承したという次第です。



エリアルベースと地上の往来に使われるシャトル・ダヴライナーに登場し、地上に降りる我夢。

我夢はそこで水面に謎の影を発見、エリアルベースへ通報しますがセンサーには何の反応も計測されませんでした。




ここで藤宮博也の筋トレシーンがインサートされます。
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壁一面に貼られたガイア関連記事のスクラップが彼の執念を露わにしています。
(某ニコニコしている動画の一挙放送時では爆笑の渦になってました……)





バスで帰省する我夢の場面に移りますが、雑談がうるさい女子学生たちに囲まれたので嫌々降車します(シュールです)

故郷の砂浜をゆっくりと歩いていく我夢。ふとこの砂浜で同級生たちにいじめられた幼少時代を回顧します。


「なんでも僕には分かりますってツラしやがってよ!!」(いじめっこ)


天才だったがため周囲に溶け込めなかったであろうことが想像できます…。
押し寄せる波の音を聞きながら、その顔は少しだけ沈みます。


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海沿いの町を歩きながら、実家に着く我夢、が家の前で尻込みしてしまいます。
そこに買い物帰りの母親と遭遇。なんだかんだで帰省が完了の運びとなります(笑)



縁側に座り込んでスイカを堪能する母と息子。


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「大学、辞めたって?通知が来たってお父さんが言ってたけど…」(母)
「ゴ、ゴメン、勝手に…」(我夢)
「ま、自分の好きなようにしなさい」(母)





両親は放任主義だと我夢は言っていましたが、お母さん、そしてここにはいない役所勤めのお父さんも息子の可能性を信じる、愛情の深い両親として描かれていますね。
(実家に迎え入れてくれる所や連絡していれば手の込んだ夕飯も用意したのにと言っているお母さんが優しくないわけがない)

天才アルケミースターズである息子との距離感に悩んだ時期もあるのではないかな?
そしてサポートするべくはする放任主義が行き着いた答えなのかな?と勝手な推測もしてしまいます。



一方、その頃我夢が見た『謎の影』をキャッチしたXIGは防衛行動を開始
(出撃するのはピースキャリー及びチーム・ライトニングですが、海に現れたので海洋チーム『チーム・マーリン』の出撃も検討されていました。)。


謎の影の正体は怪獣・大海魔『ボグラグ』でした。ボグラグは千葉県へと出現、我夢もその姿を間近で確認します。


センサーやスキャナーに全く引っ掛からないボグラグ。
その理由を調べるべく、我夢は調査に向かおうとしますがその前に母親にXIG入隊の報告をしようとします。
ですが、XIGと通信する我夢の姿で母は全て察し、息子を快く送り出します。

怪獣に向かおうとする我夢ですが、何か思い出したように振り向き、母へ語ります。


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「母さん。僕さ…この街ってあんまし好きじゃなかった。でもさ、今は帰ってきてすごく良かったって思ってる」




かつて嫌だった思い出、親の愛情、故郷の情景、全て含めて『郷愁』なのだと思います。
怪獣に侵されかけて初めて気づいた気持ち…帰省でまた一つ我夢は大人になったのです。




もう一人の巨人【動き出した対立の物語】


進撃を続けるボグラグ。ライトニングが攻撃を仕掛けますが、まるで効きません。
怪獣の特性を分析した結果ボグラグは体の質量がほぼ水と同じ成分で構成されており、
体温が極端に低いため各種レーダーにも感知されず、ミサイルの火力も水で消されてしまうと判明します。

強烈な熱を与えれば蒸発させられるが、それだと街に被害が出る……。


ウルトラマンとして戦うしかないか…そう思った矢先に我夢は気配を感じます。
我夢の側に立つ男、それは藤宮博也です。


変身アイテム『アグレイター』を翳す彼は青いウルトラマン、アグルへと変身します。


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「あの時のウルトラマン…まさか『アイツ』がウルトラマンだったなんて」(我夢)



アグルはボグルグに格闘戦を仕掛けますが、町への被害もお構いなしに立ち回ります。
右手に発生させた光の剣『アグルブレード』で敵の体を切断で優位に立ったか?と思ったのも束の間、ボグルグは驚異的な再生能力を発揮。
追いつめられたアグルのカラータイマーが点滅、我夢はガイアへと変身します。

しかしボグルグの再生能力は留まるところを知らず、二体の巨人相手に猛威を振るい続けます。
ボグルグに羽交い締めされエネルギーを吸収されるガイア。

ついにガイアのカラータイマーも点滅します、がそこにアグルの必殺光弾『リキデイター』が炸裂。


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ボグルグを蒸発させることに成功しますが、それは一歩間違えたらガイアが犠牲になっていたかもしれない攻撃。



戦いの様子でウルトラマン同士の対立を知った梶尾リーダーは静かに呟きます。


「あのどちらかと戦うことになるのか…?」


XIG側から見ればガイアもアグルも『怪獣を倒すために戦ってくれたウルトラマン』には違いありません。
ですが、人類にとってウルトラマンは根源的破滅招来体と同じくまだまだ未知なる存在です。
分からないからこそ、その対立の構図に自分達が巻き込まれるのではないか?と不安に思うし、ガイアこそが絶対の味方であるという立場も取れないのです。



夕日に染まる海岸で『二人』はついに言葉を交わします。



「我夢!君が2番目だったんだ」(藤宮)
「藤宮、藤宮博也くん…だろう?どうして君がウルトラマン――」(我夢)
「根源的破滅招来体を阻止できるのはアルケミースターズなんて仲良しグループじゃない。
それが分かったから俺は辞めた。地球にとって人類とはがん細胞だよ。増殖し続け、地球を汚すだけの存在!!」(藤宮)

「そんな…」(我夢)
「ウルトラマンは地球を守る者だ。
しかし、存在理由を持たない人間まで救う義理はない!XIGなんてやめてしまえ!!俺を手伝うことが君の為すべきことだ!!」(藤宮)

「違う!絶対に君の考えは間違ってるぞ!!」(我夢)




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藤宮の思想が明かされ、ウルトラマンのあり方を巡ってぶつかる二人。
バックで流れるEDテーマ『Lovin' You Lovin' Me』が二人の理解しあえない状況を物語っているように聞こえます。




【このやり取りで判明したこと】
・藤宮はアルケミースターズに所属していたが、途中で脱退。そのため我夢とも面識があった。
・先にウルトラマンへと変身したのは藤宮・アグルらしい。
・地球を守ることと人間を守ることはイコールではなく、むしろ人間は地球にとって有害である。




総括

人間を含めた地球という種のために戦うガイア。
有害な人間は救えない、地球だけを救うべきだと主張するアグル。


明確な対立軸を持ったウルトラマン同士の衝突が描かれるのが本作の醍醐味であり、この回でその対立構造が明確にされました。


藤宮の考えは過激に思えますが、人間が自然破壊で地球に害を与えているというのも事実です。
そんな藤宮の考えにこれまで人間の輪の中で戦ってきた我夢はそれをハッキリと拒絶します。
前回の『天空の我夢』では友情を信じ、今回では故郷と家族を守りたいという自覚を持って戦っていたのだからその姿勢は合点がいきます。

ですが、普通だったら戸惑いを見せるなりしての時期を稼いでから「拒絶」に転じる手法を取るのではないか?と管理人は思うのです。

我夢の『明瞭なる拒絶』も対立を加速させる要因として、
そして後半で描かれる『人間の傲慢・狭い視野の思い込み』に通ずる選択だったのかもしれない…そう思えてならないのです。



故郷という共同体に愛着を持って戦ったその直後、「人間こそがん細胞である」の主張を掲げた同じウルトラマンを台頭させる。
ガイアの連続活劇として計算された面白さを感じます。





次回はウルトラマンガイア第6話『あざ笑う眼』です。
ウルトラシリーズ常連マスコットキャラの地位を得たあの怪獣の初登場です!!


次回も乞う、ご期待!!

ウルトラマンガイア 第4話「天空の我夢」【考察・感想】

ウルトラマンガイア 第4話「天空の我夢」(1998年9月26日放送)


超空間波動獣 メザード  登場


監督   :高野敏幸
脚本   :長谷川圭一
特技監督 :神澤信一





天空の我夢【ボロボロのプライド、そして復活】


前回、アパテー相手に敗北を喫し、青いウルトラマンの存在を認識した我夢。
今回は彼が夢の中でその青いウルトラマンを見上げる所から始まります。


「君は誰?…僕たちの味方、それとも」

自分以外にウルトラマンがいた事実に衝撃を受けた我夢の本音が吐露されますが、ここは夢の中。
当然、青いウルトラマンは何も語ってくれません。



フラストレーションの溜まった我夢は、ゲームを楽しむような調子でフライトシュミレーターを乗り回しますが敦子に注意を受けてしまいます。

それでもファイターの調整に役立ちたかったから、と食い下がる我夢ですが、
「実戦って君はパイロットじゃないでしょ」(敦子)
「そうだけど、でも僕は…」(我夢)
「…なに?」(敦子)



答えに窮する我夢。
ウルトラマンの立場を揺るがされているこの状況で、
XIGの中にあってもあくまでも科学分析担当であって、戦闘要員ではないと思い知らされます。


自分には守る力があるのだろうか、自分は何者だったのだろうか。

ウルトラマンとしての立場を揺るがされている状況で更に追い打ちをかけられるのです。


「空っていいよね……」

まるで現実逃避でもするかのように、青く清く安らぎを与えてくれる空へ視線を逸らします。




しかし、地球へ襲い来る根源的破滅は間断なくやってきます。

突如、ビル等の建造物が砂となって崩れていき、やがて街一帯が砂漠化惨状となります。(ちなみにこの異変は女性とデート中の我夢の友人サトウの視点から描かれています。彼はこれ以降のお話でも女性同伴で出てきます。)
チーム・ライトニングが状況確認のため出撃しますが、街の上空になんとクラゲが現れます。

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怪獣か?と攻撃するもクラゲは消えては表れ、消えては表れを繰り返し、一向に消える気配を見せません(同時に攻撃する気配も見せず、ずっと街に留まります)。



我夢の分析によって、クラゲ(砂漠化させた存在)は波動生命という結論に達します。
(ここの辺りの我夢の説明は非常に専門性が高く、正直管理人にはよく理解できませんね…
こういう用語や解説が頻発する辺りもガイアの特徴だと思います)

現在目視出来ているクラゲはいわば影のような存在であって、攻撃しても無意味。
彼らにこの世界での実体を与えるべく量子的干渉波・パイロットウェーブ照射システムの使用を我夢は提案します。
(実は既に城南大学の友人に作成を依頼していたのです)



実行部隊となるライトニングの面々にも作戦概要のブリーフィングをしますが、まだ我夢を素人扱いしている梶尾リーダーはどこか気に入らないご様子…。
最終的に承諾しますが、装置を搭載した『XIGファイターEX』は自分が搭乗する!!と断言します。



友人たちは世界平和のために戦う我夢のためにもと総力を挙げ、装置を完成させます。
届けられた装置を戦場へ向かうピースキャリー内部でEXに取り付ける我夢。その時、装置に張り付けられたメモ用紙を見つけます。
そこにはXIG隊員として戦う我夢を応援する言葉が綴られていたのです。


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メッセージに心打たれた我夢は無断でEX機に搭乗、出撃します。



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唐突な流れに思えるかもしれません。

ですが、前回で受けたショックからの立ち直りとして見ると得心が行く展開と言えるのではないでしょうか?

XIG隊員である以前に自分はウルトラマン。その過信がこれまでの我夢の行動に表れていたように思います。
XIGに入隊したのもそうすれば戦いが有利に運ぶからと思っていたのではないでしょうか?
(現場同行を申し出ているのも分析よりもウルトラマンとして状況に関与したいという思いの表れ)

ですがウルトラマンとしてのプライドはアグルの登場で大きく揺らぎ、我夢は傷心します。

そんな中で自分をXIG隊員として応援してくれる友人たちの声を知ることで、
我夢は自分を『隊員』として自覚し、自分達の後ろにいる人々を守らなくてはいけないことを再認識したと思われます。




初めて、ウルトラマンではなくXIG隊員として守りたいと思った。これが無断出撃を強行した我夢の胸中なのだと考えます。


「空だ…これが現実の空……」(我夢)


飛び出した先は死と隣り合わせの緊張感に満ち溢れた空。
冒頭、現実逃避するために「空っていいよね…」と眺めていた優しい空とは違うのだと思い知るのです。


当然スカイチーム所属ではない我夢の出撃を容認するわけもなく、梶尾リーダーらのファイターが後を追いかけます。
梶尾リーダーは戻れと言いますが、我夢は引き下がりません。


「僕はこの翼を平和を壊す奴らと戦うために作ったんです!」(我夢)
「そんなことは分かってる!」(梶尾)
「戦う術を持たない人を守るために…コイツのしたことは許せない!!」(我夢)


やがてファイターEXはクラゲに接近しますが、突如攻撃をしてきます。
EX機はなんとか回避しますが、コントロールを失い墜落しそうになります。

ですが土壇場で梶尾リーダーのアドバイスを受けて、我夢は機体のコントロールを取り戻します。

「簡単に落とすな!空に出たからにはお前も自分の仕事をやり遂げろ」(梶尾)
「了解!」(我夢)




これまで我夢と何度も衝突していた梶尾リーダーですが、我夢の想いを知り全力で援護することを決めます、
翼を並べる我夢のEXと梶尾リーダー率いるファイター。


空に飛び出て『男』になり、仲間に初めて認められる…このお話最大のグッとくるポイントと言ってもいいでしょう。

EX機にパイロットウェーブを照射され実態化したクラゲ(波動生命体)はファイターの攻撃で撃墜されます。


が、それで消滅はせず怪獣『超空間波動獣メザード』となり攻撃してきます。
先のクラゲのような胴体に首長竜を思わせる頭部、全体を覆う粘液……これまた不気味な怪獣です
(時間経過で街も夜になっており、メザードの禍々しさがより強調されます)。




我夢はガイアに変身し、夜の砂漠と化した街でメザードとの戦いが始まります。

苦戦を強いられますが梶尾機の援護もあり、フォトンエッジで見事撃破します。
(この際、メザードの亡骸が炎上するのですがガイアの特殊能力で消火します)



事件は解決しますが、無断出撃した我夢を厳重に処分するとコマンダーは千葉参謀に言及します。
我夢自身も処分は免れないだろうと分かっていながらも、どこか満足げな表情を浮かべて帰投します。




XIG・我夢視点での物語の本筋はこれで終了します……ですが…(次の項へ続く)





「誰かに頭ン中覗かれてたような気がしてた、って」【藤宮の影、終わらない波動生命体の暗躍】




今回も例に漏れず、報道班のKCBクルーがXIGの視点では追えなかった情報を拾い上げています。
実はその中には第一線にはない一般・報道ならではの情報だけでなく、今後を占う重要な情報が2つ隠されていました。


一つは現場の街に現れた『藤宮博也』です。

後にウルトラマンアグルの変身者であることが明かされる彼の姿が玲子さんによって目撃され、今回のラストカットでもその姿がハッキリと描かれます。
玲子さんは前回彼と接触したものの姿を見ていないのですが、直感的に何かを感じリンブンに撮影するよう求めていましたね(その時は既に消えていたのですが)


恐らく波動生命体・メザードの活動を監視していたという可能性が濃厚だと思われます
(記憶が曖昧なので断言は出来ませんが、後の展開でもこの事についての言及はしていなかったと思います。)

ラスト近くで田端さんの言葉から街にいた人のほとんどが無事救出されたと判明し、管理人は初見時「藤宮が人々を助けたのかな?」と想像したのですが、
明かされる『彼の思想・戦う理由』や『メザードの特性』(後述の文章とも関連しますが)を鑑みるとその線は無いように思われます。





もう一つは先も記した「メザードの特性」です。

我夢たちの視点に立って見ても厄介極まりない性質を持ち、散々苦しめる強敵だったわけですが、
実はKCBクルーたちのやり取りの中に波動生命体・メザードの更なる恐ろしさや今後の伏線が隠されていました。


「しかし理不尽じゃねえか、なんで怪物がここに居座ってるんだよ」(田端)
「まぁそもそも怪獣が出ること自体俺に取っちゃ理不尽ですけどね」(リンブン)


浮遊を続けるクラゲ状態の波動生命体に憤る田端さんにリンブンが「ごもっとも」な返しをするやり取り。
ですが、攻撃もせず崩壊させた街に何故居座るのか?確かに不自然です。


それに対する答えは「居座り続ける理由があったから」に他なりません。


もう一つの重要だと思われるやり取りを見てみましょう。
メザード撃退後の田端さんと玲子さんの会話です。


「ほとんどの人間が無事に救出されて病院へ運ばれたそうだ」(田端)
「信じられない、奇跡ね」(玲子)
「気に入らねえのはその全員が同じ証言をしてるってことなんだけどな」(田端)
「で、なんて?」(玲子)
「誰かに頭ン中覗かれてたような気がしてた、って」(田端)



平和が戻って一安心した日常的会話に聞こえますが、最後の田端さんの言葉が意味深です。
更に深読みすると被害者たちは『偶然生きていた』というよりも『生かされていた』可能性の方が高いのではないか?と思います。


「進軍を続けることなく街に居座り」「人々を生かし」被害者たちに「頭の中を覗かれたような気がした」という体験をさせた波動生命体・メザード


特異な性質を見せたこの敵は、この後何度も襲来しウルトラマンたちを苦しめます。
その時、ここで言及した意味深な言葉の意味が初めて理解できるのです。
メザード4部作の始まりであります…(脚本は全て長谷川圭一さんが担当されます)


玲子さんは「奇跡」と称しましたが、それは「悪夢」の序章だったのかもしれません。



総括


今回は縦軸で読むとメザード編の序章であり、更に続いていく恐怖の始まりとして見ると怖いお話でもあります。
ですがその一方で我夢が立ち直り、隊員として男としての自覚が芽生えるという要所を抑えた成長するドラマは王道的で非常に気持ちが良いものとなっています。
今回の脚本家・長谷川圭一さんは前作ダイナでも熱血やカラッとした気持ち良さのある作品を書かれていましたが、今回のお話はそれと似たテイストを感じます。

『天空の我夢』というサブタイトルも初めてファイターに乗って出撃する我夢の勇姿を華麗に言い表した妥当なサブタイトルと言えるでしょう。



ちなみに今回波動生命体を追い込むまでの過程がかなり複雑なメカニズムで描かれていましたが、
長谷川さんは量子物理学を学んで今回の脚本に望まれたそうです。
裏打ちされた科学考証が複雑怪奇な恐怖感を演出する…素晴らしき熱意に賛意を送りたいと思います。



次回はウルトラマンガイア第5話「もう一人の巨人」となります。
我夢の帰郷とアグルの本格登場…一体どうなる!?


次回も乞う、ご期待!

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