彼と彼女が握ったもの

特撮やプリキュアの考察感想記事を投稿するブログです。 コメント大歓迎です!!初めての方でもお気軽にコメントしてくださると嬉しいです!

特撮やプリキュアの考察感想記事(ネタバレあり)をゆる~く投稿するしながらも時には熱く語っていきたい…そんな風に運営出来たらなと思います。 あとコメントはお気軽にどうぞ!!

【感想】劇場版 ウルトラマンティガ・ウルトラマンダイナ&ウルトラマンガイア 超時空の大決戦 第2章「パラレルワールド」

 偶然か、はたまたヒーロー作品の節目を飾る必然だったのか。
映画「仮面ライダー 平成ジェネレーションズFOREVER」の本予告映像が公開されましたが、なんとその内容は「番組としての平成ライダー」と「応援し続けた視聴者」というメタフィクション要素が取り入れられているようです。
 今回取り扱うガイア劇場版、あるいは以前感想を執筆したプリキュアオールスターズメモリーズと類似しているような……と思ったのは私だけでしょうか?
 一時代を築き上げてきたコンテンツの節目を「応援し続けてきた人々」と共に迎え入れるストーリーは得難い感動を与えてくれるはずだと個人的に思っていますが……さて、平成ライダーは描く節目はどのように彩られるのか、今から楽しみです。






 今回配信された第2章は、勉の世界に現れた我夢が勉たちと交流していく中で「自分がこの世界で放送されている特撮のキャラクターと同一人物」であること、赤い玉に秘められた謎を知り、章タイトルにある通り「パラレルワールド」の真実を知るお話となっています。
 
 事前に収集した赤い玉の記憶データによって、我夢が失った平行世界での記憶を呼び覚ます決定打というファインプレイは科学者ウルトラマンなればこそと言えるでしょうし、そもそも「別世界への転移」という状況自体を疑ってもおかしくない場面で冷静に考証を積み重ねて真実を導き出した冷静さも彼らしいですよね(知的好奇心とも言えるかもです)。
 
 また少年少女たちにも見せ場があり、
より強力な怪獣を作り出す妄執に捉われ赤い玉を奪取した浩たち
願いが叶って満足する一方、自信が持てない自分の拠り所となってくれるであろう我夢との別離を恐れる
我夢の「人は分かり合える」という言葉に「本当にそう思う?」と意味深な反応を見せ、更に浩と交渉し玉を返してもらうことを「無理だよ」と諦めた勉に"最初に玉を使って願いを叶えた責任"を投げかけるリサ
 と伏線、それぞれの心の内が窺い知れる描写がふんだんに描かれています。いやー情報量が濃い。
特に対話を無理と決めつけた姿勢と一番最初に始めた責任を糾弾するリサの論点の突き方は、年頃を考えるとやや意外に思えますが、最後まで見ると納得が出来るんですよね。


 また、「ウルトラマンガイアの我夢」と広く知られているため子供たちに追い回されるコミカルさからの「国籍不明戦闘機の搭乗者」として警察に包囲されるシリアスへの転調も目を見張るものがありました。ファンタジーをそのまま受け入れる子供達と現実の危機へと置き換えて対処する大人の違いが見て取れます。




 ここからは気になった2点を考察していきたいと思います。


 まず一つ目ですが、こちらは最初に結果を言いましょう。
この映画を初めて見た時からずっとそうではないか?と考えているのですが、

「我夢と勉はパラレルワールドの同一人物ではないか?」

ということです。

 3章・4章の感想でも恐らく触れる部分ではありますが、今回の2章・ガリバー旅行記について語る中で自分が根拠と考えている場面が出てきます。

 パラレルワールドについて、我夢は
「自分とは違う自分が世界がいくつも同時に存在するって考えさ」と解説します。

説明として単にそのように述べただけ、とも取れますが、こう言っている以上「時空移動した我夢と同一人物にあたる存在が劇中に存在している」との推測も成り立つのではないか?という気がし、これが自分にとっての発想のきっかけです。

 また我夢と勉には共通項があり、 

・同じガリバー旅行記を愛読している。
・好きなものに対する熱意は強い。
・運動や勉強が苦手で、なおかつ「まだウルトラマンなんて見てるの?」と言ってくる周囲が息苦しくい勉=天才であるため、少年時代はいじめられていた我夢。
・対を為す存在が身近にいる(藤宮・浩)
 
 と、差異がある部分は世界の違いから来る誤差の範囲と思えば、なかなか似た人物と言ってもいい気がします。
 で、あるとするならば「ヒーローであるもう一人の自分に憧れた少年の物語」という角度で観ることも出来……更なる味わいで映画を楽しめるのではないか?と考えます。
 しかし、この点については結局映画内では特に言及されることはなかったわけですが……今度出版される後日談の小説にて、何らかの回収があるのかもしれないと諦め悪く期待しております(笑)。


 もう一つは願いを叶える「赤い玉のルーツ」に関して。
我夢と接した赤い玉自信が語った所によると、
「心に思い描いたことを全て現実にするため別次元の人間によって造られた、物質文明の最終到達点」であり、際限無き人の欲望はいずれ世界の破滅を招く、それをずっと見続けてきたため「私は造られるべきではなかった」と自身の存在価値を全否定します。

 これは今回の視聴、というよりウルトラマンダイナの視聴後だったから気づけたのですが、これはダイナのラスボスにして、夢願う人の前進を忘れなかったネオフロンティアの宿敵ともいえる「グランスフィア」にルーツを持つ存在だったのではないか?と思えてなりません。
 本作がウルトラマンダイナのメインライターである長谷川圭一さんの脚本ということも当然、勘案していますが……。

 ダイナで語られたグランスフィアの真実は以下の、グランスフィアが劇中で述べた台詞通りです。

「人類よ、そのもの達の中へと同化せよ。そのもの達もかつて、おまえ達と同じ様な人間であった」 
「限りある命におびえ、互いに争い、ついには自らの星をも破滅への危機へと追いやった」 
「だが彼等は克服したのだ。人を、あらゆる有機物、無機物を、ついには惑星自体も一つに融合し完成させた、完全無欠の生命体。それが私だ。まだ間に合う。地球が滅び去るその前に、私はおまえ達を迎え入れよう」 
「私こそ地球の歩むべき、未来だ!」 



 命を喪う、破滅の危機を回避するために「個」という在り方を否定し、全生命・物質の融合という進化を突き詰めた存在。
それがグランスフィアの正体です。
 赤い玉は「願望を叶えるため」、グランスフィアは「滅びを乗り越えるため」とベクトルが異なりますが、ピークに達した人のテクノロジーが禁断の領域へと足を踏み入れ、違う価値観を持つ・未来への可能性を秘めている「個の人間」という存在方法を否定するシステムとなってしまったという点では酷似しています。
 技術発展の行き着く先は唯物論を象徴したシステムであり、その先に待つのは文明の破滅…そんな警鐘のメッセージが見て取れます。
(余談ですが、更にこの系譜を継いでいくがウルトラマンコスモスのカオスヘッダーではないかな?と考えます)。

 こう思い始めたきっかけは、「赤い玉が女性の声で喋る」という光景でグランスフィア及びスフィア球体も「そう言えば、女性の声で喋ってたよな」と思い出したところから始まっていまして……考えすぎですかね?
 しかし「人は分かり合える」「願いから見える人の醜悪さと勇気」といった本作のテーマは、ウルトラマンダイナと通ずる点が少なからず……いえ、それを言い始めるとティガのテーマも内包されていると言えますから、やはり平成ウルトラ三部作の集大成と言える映画なのだと堂々と語りたい……。


 折り返し地点を迎えて更に面白くなるであろう来週からの配信が楽しみです。


 次回も乞う、ご期待!

【感想】劇場版 仮面ライダーアマゾンズSeason2 輪廻~今、小林靖子を考える~

先週の「Season1覚醒」に続き、今回は「Season2 輪廻」の感想記事となります。

 覚醒と同じくこちらも総集編映画となっているのは周知の事と思いますが、やはり尺の事情でカットされているエピソードが多く、千翼の友人でありその危険性が発覚した後も彼とイユに関与し続ける長瀬、イユの父親・星埜教授が登場する空白の5年間、ゲストの溶原性細胞アマゾンたちに関する描写のほとんどがカットされており、鷹山仁、泉七羽、千翼の家族を中心とした悲劇の物語として編集されているといったところでしょうか。
 前作から引き継いだ要素に加えて、溶原性細胞のオリジナル、千翼の正体、鷹山仁の行方、といった謎解き要素が加わっており、またドラマ版は毎話主題歌「DIE SET DOWN」が流れると共に衝撃の展開で幕を閉じる所謂クリフハンガー方式のラストが見所でもあったため、やはり純粋にSeason2の物語を楽しむのなら、ドラマ版をおススメしたいところです。

 
 にしても、凍結処分に処される直前、感情を爆発させた結果覚醒した、千翼アマゾン態による殺戮のインパクトは何度見ても、身震いします……。
密室の環境下で最強最悪の怪物と間近に接する恐怖、恐慌状態に陥る隊員たち、パニック映画的文法と言うのでしょうか……映像として圧倒されることは多々あれど、「絶対に関わり合いになりたくない、画面の向こうで留まって欲しい光景」、仮面ライダーの映像を見てこのように感じることも久しい感覚でした。



 前作以上にゴア描写は過激さを増し、その都度最善を尽くそうとした人の行いがかえって事態を悪化させていく……人の無力を嘲笑うかのような物語は黙示録的と言っても遜色ありません。
 どれだけ諦めずに、信じるために想い続けても、この物語は奇跡の展開が起きないのは確かです。
しかし、決して救いにならなくても、願いや繋がりといったものを登場人物たちが全否定しない姿に涙が止まりませんでした。


 「自分が生きるだけで拡がり続ける罪」から逃れ得ぬとも、最期までイユとの未来を、自分が生きることを諦めなかった千翼。
 七羽さんを殺め、そして、千翼にもまた狩りの対象としてで無く、父親として手を下した仁さん。
 生きたいとただ純粋に願った千翼に感化された模様の黒崎さん。
 マモルを引き留められなかった自分達の『仲間』としての責任と本心を明かす旧駆除班。
 袂は分かったものの、五円玉の『絆』を忘れ去ることは出来なかったマモル。
 そして、戦うの選択肢を一度を選んだものの、悠に「生きて」と懇願し見逃した美月。


 
 悲劇と陰惨、救われない物語。
このアマゾンズという作品と脚本家である小林靖子さんをそのように論評する向きが強い、とネットの特撮界隈を見て感じますが、それでも人間あるいは人間として生きようと這いつくばる者たちから何も得られない生と死などないというメッセージ性、小林靖子という稀代の脚本家が放つ作家性の集大成がこのアマゾンズ Season2だと個人的に思います。

 千翼で描かれた、『一人ではどうすることも出来ない運命に抗い続ける物語』は、靖子さんが脚本家を志すきっかけとなった特警ウインスペクター25話「雨に泣くロボット」に通ずるものがあり、「侍戦隊シンケンジャー」の侍になることを定められたモヂカラの能力・血の宿命や「特命戦隊ゴーバスターズ」の13年に及ぶ運命の闘い」、「仮面ライダー電王」「未来戦隊タイムレンジャー」両作の時間と歴史を守る闘い、からもそのミームが見え隠れしています。
 
 また、(こちらは劇場版ではカットされていましたが)黒幕の一人天条会長が言い放った「人は始められることは出来ても、終わらせることは出来ないのだよ」との台詞は未来戦隊タイムレンジャーで浅見会長が言った「一度、権力争いに乗ったら、あとは最後まで戦い続けるしかない たった一人で」という冷徹な現実観、人間の無力感を提示しています。


 そして、死の瞬間が訪れるまで必死に生き抜こうとした、だから結果的に死んでしまいますが、彼は確かに「生きていた」という事実を視聴者の心へ深く刻み込んだ千翼の『生き様』は、「仮面ライダーオーズ」で映司に全てを託し、「お前達といる間にただのメダルの塊が死ぬとこまで来た。こんな面白い満足出来る事があるか?」と満足気に消滅したアンク「牙狼-GARO- -炎の刻印-」で敵のテーゼ"永遠"を否定した魔戒騎士が受け継ぐ血の宿命(さだめ)を彷彿とさせます。

 ウインスペクター以外全て、靖子さんがシリーズ構成を務められた作品であり、それら名作が彩った想いを随所に感じられるからこそ、アマゾンズSeason2はその集大成だと思います。

 
 生きていても、綺麗で報われる結果ばかりが与えられるとは限りません。
それでも、「負け続けまい」とする人々の姿にこそ至上の輝きが宿るのかもしれない……小林靖子脚本の魅力はそんな所にあるのではないか?と観続けてきた自分は考えますし、マモルの五円玉や千翼の死が直接的に描かれなかったのもそこに起因しているのではないか?と思う次第です。



 そして、もう一つ見えてきたもの、こちらはシンクロニシティ(意味のある偶然の一致)と言うべきでしょうか。



物語の終盤、千翼を取り逃がし現場の撤収作業が始まる中、部下の札森に黒崎隊長が訊きます。


「お前、死にたくねえって思ったことあんだろ?」
「当然、毎日ですよ」
「……生きたいって思ったことあるか?」
「え?……おんなじでしょ」

 にべもない返答に黒崎隊長は笑い、(劇場版ではカットされていますが)愛用の銃を置き去りにして、その場を立ち去ります。

 生きること、食べること、、戦うこと、死ぬこと――その一切を現場で見つめ続けた彼を通して、「生死」として並べて語られるこの二つの概念が向かうベクトルは実は異なるのだと、言っているように思えます。
 

 そして……


 生きて、生きて、生き抜け!


 見覚えがある方もいらっしゃるでしょう。こちらは映画「仮面ライダー1号」のラストで提示された本郷猛、そして演じられた藤岡弘、さんからの、今を生きる全ての人々へ贈られたメッセージです。
 1号は脚本段階から関わっていた藤岡さんの想いが込められており、全編を通し、生命(命)・生きることの尊さを訴えかける内容となっていますが、本作の脚本を担当した靖子さんと並ぶ平成ライダーの名脚本家井上敏樹さんも1号関連企画である白倉伸一郎プロデューサーとのニコニコ生放送対談にて、今の若者は必死に生きていない、等の生命(いのち)に関する発言が多く見受けられ、井上さん自身も生きるというテーマに並々ならぬ想いがあるのだと自分は感じました(生放送は再視聴が出来ず、記憶も曖昧ですので、正確性に欠けますが大体こんなニュアンスだったと思います)。
 


 新たな平成ライダーの可能性を突き詰めたアマゾンズと原点回帰の道を一直線に往く1号。
 共に仮面ライダーから離れて久しい名脚本家、小林靖子井上敏樹
 
 本来交わらないはずの2つの作品、二人の脚本家が「生きる」という人類最大の命題に、平成末期というほぼ同じタイミングで挑んだという事実は偶然以上の何か、正にシンクロニシティを感じざるを得ません。



 やや小林靖子論を語りすぎた気もしますが、次回はいよいよ最終作「最期ノ審判」の感想となります。
こちらはまだ未見ですので、純粋に楽しみですね。


 次回も乞う、ご期待!

【感想】SSSS.GRIDMAN 第6話「接・触」&ボイスドラマ第6.6回「新世紀中学生って何ですか?」

 一時期、停滞気味だったブログ投稿ですが、GRDIMANの感想投稿を皮切りにペースを取り戻し、書く側つまりは見てもらう側として、それなりに思索を重ねて投稿を続けてまいりましたが、ようやくアウトプットする快感を感じ始めてきて、そう思えてきました。
 今後もご愛顧いだければ幸いでございます。こちらも研鑽に励む所存であります。




 そして、GRIDMAN6話の感想となるわけですが、これまでの5話のどれをも超える衝撃の展開がやってきて、未だに脳と体が興奮を忘れられない状況でブログを書いております。

181111 18;21;33 うるるんロギー 「SSSS.GRIDMAN」 第6話 怪獣少 043



・特撮版にも登場した怪獣・アノシラスの二代目が裕太に『先代の恩返し』として語る世界・この街の真実。
・ピアノアレンジ版『夢のヒーロー』が劇中で流れる。
・特撮版でグリッドマンに変身する主人公・翔直人を演じた小尾昌也さんをモチーフとしたキャラの登場及びご本人のCV出演。
・ボイスドラマで明かされた新世紀中学生の由来が特撮版の中学生3人発であることが判明。


 と、怒涛の情報開示と特撮版とのミッシングリンクが充実していく様は圧巻であり、「怪獣が出ない話は駄目」と結果的に自虐になってしまったネタも気にならないくらいの満足感を感じられましたね。
 特にアカネが怪獣の黒幕であることが、第三者の、それも特撮版由来のキャラクターから情報提供される形で暴露される展開には意表を突かれました。
 武史・カーンデジファー由来ではない元々コンピューターワールドに住み付いていた電子生命体「アノシアス」と「ユニゾン」。その存在は以後の特撮版ストーリーで関連付ける事象が起こらなかかったため、全体から見て浮いており、振り返ると「変な話」だったなぁと思わされたもののですが、その系譜を継ぐ二代目ならば、グリッドマン同盟やアカネ側らと一線を画す純粋な第三者としてこれほど適任な存在はいないだろうと納得出来ます。とても上手い。
また特撮版で世界を救ったグリッドマンや直人たちの活躍が「実際に起きた事」と既定され、正当な続編だったと分かった際の高揚感は筆舌に尽くしがたい。構成力の秀逸さに感服するばかりです。


 

 アノシアスの説明を補強するため、特撮版の武史による怪獣製作を思い出させるカクカクしたCGが出てくるのですが、これもまた懐かしさと同時に、怪獣に焼かれた人間やビルがまっ黒焦げになるといったグロテスクさも同時に表現していて、芸が細かいです。
 アニメ版単体での面白さを追求し、一定の評価を得たこの段階で『続編的要素』を全面的に出してくるのはとても上手い。
同一世界観であるものの、ある程度物語が進むまで前作主要キャラが登場しなかった『ウルトラマンダイナ』で感じたようなバランス感覚を彷彿とさせます。




 ファンが喜ぶ回収の一方で、多くの伏線が仕掛けられたことも見逃せません。
・グリッドマンの変身者である裕太抹殺へ赴いたアンチのお世話(お風呂)に手を焼く六花。
・特撮好きの共通点から自然に内海へ接近するアカネ。  
・二代目アノシアスから、この世界が神的存在・新条アカネによって創造された世界であることを教えられた裕太。
……とそれぞれが分断された(情報共有がなされていない)状態でグリッドマン同盟はアカネ・アレクシス陣営と密接に接近していきます。
 足並みが揃わない、それぞれの接触がどのような軌跡を描いていくのか。楽しみでもあり、怖くもあり、未知数なドラマへの期待が高められますね。
特に、内海君は裕太がグリッドマンであることを漏らしませんでしたが、恐らくアカネの不審な行動を「自分達と同じく、記憶が改変されない存在」だと誤認したのでしょう。
そのため、アカネを巻き込むわけにはいかない、という情で隠し通したわけなのですが、これが吉と出るか、凶と出るか……裕太ほど直接的な言葉で言われたわけではないのですが、アカネの暗躍を感じ取った彼との対比にもなっています。
 またそれぞれの面々を、新世紀中学生が尾行していた点がどう作用していくのかも見物でしょう。
 今回はその尾行のおかげもあり、裕太がアンチに襲撃されるも間一髪でキャリバーさんとマックスさんが助けてくれました。
 グリッドマンと唯一、一体化・変身出来る少年に「自分に出来ることをやれ」「共に戦おう」と背中を押す場面が目立つ二人だったからこそ、その応援がより頼もしく思えた気がします。
 裕太に求めるだけでなく、自分達が体を張るべき場面でも躊躇いなく、実直な二人の人柄が出ていたように思います。

 しかし、裕太は人間である、グリッドマンとは別存在、と擁護し、アンチを混乱させたわけなのですが……


「どう見ても人間だ」


強調するように言われたこの言葉にやや引っ掛かりました。
というのも、遡ってアノシアスが教えてくれた『真実』と照らし合わせると……直接の言及はありませんでしたし、裕太もその点では反応していませんでしたが、彼らの住む『ツツジ台』という街そのものがコンピューターワールド(仮想世界)であると推測できます。
 また、この世界を作り、現在進行形で好き放題に作り変え続けている新条アカネは裕太たちにとっての『神様』という言い方をしているのですが、それはつまり裕太たちもまた仮想世界の住人、データの集合体的存在という推測が成り立つのではないでしょうか?


 先走った予想ではないか?と自分でも思いますが、
「グリッドマンと一体化する裕太が人間」であることから「人間の姿から怪獣へ変身するアンチ」が抹殺を断念する、というのは本当に偶然だったのか?
 アカネとアレクシスによって操作されていることが明らかになり、常識の通じない世界だと明らかになった今、「外見」がどれほど信頼のおける基準となるのか?
 それを教えてくれたのも「少女の姿をした怪獣」だったではないか。

 また、このシーンは第3話の「人間の声を発するアンチの怪獣態を前に戦意喪失する裕太」の写し鏡のようにも見えます。

 
 怪獣とは何者なのか?を叫べば叫ぶほどに、その被害を被っている人間もまた何者なのか?という疑問が沸き上がってくる……実像を問うていく物語のギアが「人間であることの強調」によってまた位相が一段上げられ、不穏を感じてしまいます。


 それぞれに不安を抱えつつ、全員がいつものたまり場である「絢」で勢揃いしていることで裕太が安堵し笑う……が今回のグリッドマン同盟側のラストとなっていますが、波乱含み「でも」と取るのか、「なのに」と不安を見るのか、二通りに解釈できる場面であるような気がします。
 



 一方、グリッドマンを見つけられなかったと報告するアンチに「やっぱ全然分かってないじゃん」といつも通りにスマホを投げつけ呆れるアカネ、そしてアレクシスがいよいよ動き出すか?と思わせるラストとなっていますが、アカネの発言が少し興味深い。
 というのも額面通りに受け取るのなら、「仕事が出来ない駒の無能さに嘆いた」のように見えるのですが、アンチは裕太を見つけたものの「変身体ではないグリッドマンを倒すことに躊躇した、巨大戦でグリッドマンを倒す事に意義を見出した」という真相を見抜いた上での発言だったのではないか?とも取れます。怪我も負ってますから。
 「分かってない」とは結局、アカネの命令よりも自分であるための戦いを志向するアンチの本質に向けられた呆然の言葉なのではないか?と。



 最後に、アカネが怪獣を放って気に入らなかった人間を殺害していたことを知り、驚愕した裕太の「好き嫌いで人を?」に着目したいです。
 極めて常識的発言のように一見思えますが、これは裕太が記憶喪失であることと六花に好意を感じ始めている事を鑑みると、単純に「人を嫌いになる感覚、憎悪を殺意へと変換する体験それ自体を知らない、経験していない」という彼のパーソナルな部分を浮き彫りにする発言だったと思っています。
 穿った見方ですが、この作品のリアリティライン、キャラクターたちの会話や思考の生々しさを見るに、憎悪のままに突き進むアカネへある程度の理解を示す人間が出てきてもおかしくない気がします。
 裕太だからこそ発せられた、真っ当で後ろめたさのない物言いだった……そのように思ってしまいました。




 次回も乞う、ご期待!

アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

ギャラリー
  • 【ミリしらサクラ大戦視聴記】OVA『轟華絢爛』4~6話 公式配信の順序が大団円的だったと思うワケ
  • 【ミリしらサクラ大戦視聴記】OVA『ル・ヌーヴォー・巴里』
  • 【ミリしらサクラ大戦視聴記】OVA『轟華絢爛』1~3話、そして致命的なネタバレを見てしまったお話
  • 【ミリしらサクラ大戦視聴記】OVA『エコール・ド・巴里』~CGと作画の融合があああ素晴らしい~
  • 【ミリしらサクラ大戦視聴記】OVA・桜華絢爛を二部構成で読み解く
  • リアル志向と不屈のヒロイズムが押し寄せる名特撮『ブルースワット』をおススメする4つの理由【Youtube配信記念】
  • リアル志向と不屈のヒロイズムが押し寄せる名特撮『ブルースワット』をおススメする4つの理由【Youtube配信記念】
  • 【感想】スター☆トゥインクルプリキュア最終話「宇宙に描こう!ワタシだけのイマジネーション☆」
プロフィール

ぱすくろ

  • ライブドアブログ